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福島第一原発沖の海底土から 約3年ぶりの高濃度セシウム検出。3160ベクレル。放射性物質のホットスポット化進行を裏付ける(FGW)

2015-07-19 13:31:31

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東京電力の発表によると、福島県沖の海底土から6月の検査でセシウム3160ベクレル(1kg当たり、乾土)を検出した。福島沖の海底土からの放射性物質濃度としては、2012年7月以来の高濃度。原子力規制委員会の発表では海水中の放射性物質濃度は減少しているが、一部の海底土がホットスポット化する現象は続いていることが分かった。

 

 ほぼ3年ぶりの高濃度セシウムが見つかったのは、福島第一原発沖約7~8km付近のT-⑨地点。6月2日の採取で、セシウム134が660ベクレル、同137が2500ベクレル、合計3160ベクレルとなり、最近では2012年7月8日の合計4500ベクレル以来の高濃度となった。T-⑨地点としては、福島原発事故以来の最高濃度を記録した。

 

 東電が検査公表しているデータを検索する限りでは、事故が起きた2011年7月4日に、福島原発沖直近の海底土で1万8300ベクレルを検出している。ただ、公表データ自体は2011年6月からで、検査対象外の地点や時点で、それ以上の汚染が起きていなかったとは言い切れない。

 

 海底土に放射性物質の汚染が滞留すると、底魚と呼ばれる魚類の汚染継続につながる可能性がある。ただ、陸上と異なり、海底土を除染することはほぼ不可能に近い。

 

 今回、高濃度のセシウムが検出されたT-⑨地点も、一か月前は180ベクレル、その前は6.3ベクレルと、検査条件によって大きく変動している。海底の土自体も潮流の変化等によって移動しているとみられる。このため、時間をかけて自然に拡散することを待つ以外に対応策はない模様だ。

 

 陸上部でも森林等の除染はほとんど進んでいないことから、地下水等の汚染が長期化することが指摘されている。除染は見えるところ、人間が活動するところを中心に行われており、自然全体を覆った汚染を取り除く効果は限定的といえる。「見えない」ところでの汚染は、超長期にわたって残り、自然や生態系に影響を及ぼし続ける。

fukushimakaitei201506キャプチャ

 

http://radioactivity.nsr.go.jp/en/contents/11000/10003/24/280_20150713.pdf