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東電福島原発事故による放射能除染作業の違法派遣で 二次下請け企業社長ら逮捕 ずさんな雇用実態 賃金不払いも(河北新報)

2015-11-17 19:57:54

fukushimaworker2キャプチャ

 福島県楢葉町の除染作業をめぐる違法派遣事件で、青森県警むつ署などは16日、職業安定法違反(労働者供給事業の禁止)の疑いで、2次下請け業者ジェイテック(東京)社長渡部博(62)=福島県いわき市泉町滝尻=、当時の現場責任者で嘱託職員山本幸雄(63)=同市平下高久=の両容疑者を逮捕した。


 逮捕容疑は共謀の上、2013年11月1日~14年3月11日、計643回にわたり、3次下請け業者泉友(青森県大間町)から泉友以外の7業者が雇用する従業員16人を労働力として受け入れ、楢葉町で除染作業に従事させた疑い。同署などによると、2容疑者は黙秘している。

 


 事件では各業者による賃金の中間搾取が行われており、むつ労働基準監督署は渡部容疑者にも労働基準法違反の疑いがあるとみて調べている。

 


 むつ署などは16日までに、両罰規定を適用し、職安法違反などの疑いで泉友と、泉友に従業員を提供した青森県東通村や大間町などの計4社を書類送検。このうち2社とそれぞれの役員2人を、無許可で派遣事業を行ったとして、労働者派遣法違反の疑いでも書類送検した。

 


 青森区検は同日、職安法違反などの罪で、4~6次下請けに当たる業者役員ら3容疑者を略式起訴、青森簡裁は同日、それぞれ罰金25万~40万円の略式命令を出した。泉友の泉一哉元社長(41)=大間町大間=ら2人は16日までに処分保留で釈放された。

 

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福島県楢葉町の除染作業をめぐる違法派遣事件では、3次下請けの泉友(青森県大間町)が、自社の従業員2人と下北地方などの7建設業者の従業員16人を2次下請けのジェイテック(東京)に派遣していた。

 


 職業安定法は、自社と雇用関係のない労働者を第三者の指揮命令の下で働かせる労働者供給事業を禁止しているが、捜査関係者によると、泉友はジェイテックに人集めを依頼されていたという。

 


 青森県内では東日本大震災以降、原発関連の工事が凍結され、受注数が減少。青森県建設業協会は「下請けの小規模業者が仕事を求めて除染作業に行かざるを得なくなったのでは」と推測する。

 


 福島労働局の調査では、除染作業に携わる342業者のうち7割近い233業者で賃金不払いなどの法令違反が計364件見つかるなど、ずさんな雇用実態が明らかになっている。

 


 同労働局は元請け業者18社を対象に今月、福島市で説明会を開き、違法派遣に関して楢葉町の事件を示し、派遣と請負の違いを解説し注意を呼び掛けた。

 


 また、法令順守のためのチェックリストを初めて作成。賃金や労働時間、放射線量管理などを下請け、元請け業者の2重チェックで確認する。同労働局の担当者は「法令を守り労働者が安全に働けるよう、元請け業者を通じて下請け業者に周知徹底を図っている」と話す。

http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201511/20151117_63023.html

http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201511/20151117_63022.html