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東電福島原発事故による放射性汚染「イノシシ専用」の焼却炉初めて完成。2月末にも3万ベクレルのセシウム検出。(RIEF)

2016-04-14 13:22:28

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 各紙の報道によると、東京電力福島第一原発事故で山野全体が放射能で汚染された影響で、高濃度汚染が続く野生のイノシシを処理する専用の焼却施設が、福島県相馬市内で完成した。

 

 福島県下での放射能汚染データをみると、全般的に汚染濃度は下がってきている。しかし、各地で捕獲されるイノシシの放射能濃度はあまり低下傾向がみられない。雑食性で汚染土を掘り起こして食べ物をあさるなどの食性が影響しているとみられる。

 

 福島県が定期的に公表する「野生鳥獣の放射線モニタリング調査結果」の最新データ(3月30日時点)でも、相馬市で捕獲されたイノシシから、1kg当たり3万ベクレルのセシウム(基準は同100ベクレル)を検出したのをはじめ、南相馬市で1万ベクレル、二本松市で2500ベクレルの値が測定されている。

 

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  高濃度汚染のイノシシ肉は、もちろん販売できず、廃棄物として土中に埋めて管理したり、一般ゴミと混ぜて焼却処理しているという。だが、廃棄物処理場での土中の放射能濃度が減少するわけではない。また、焼却処分も、放射性物質の大気中拡散のリスクがある。

 

 こうした事業に加えて、原発事故後、イノシシの数が増えていることもあり、捕獲しても食肉として利用できないイノシシの処理問題で、各地の農業関係者は頭を抱えている。

 

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 今回、完成した相馬市のイノシシ専用焼却施設は、福島県新地町と、相馬市でつくる相馬方部衛生組合が運営する。一度に120kgまで処理できる燃焼炉のほか、、20頭分を丸ごと保管できる冷凍庫を整備した。焼却に際しては、バグフィルターで放射性物質の飛散を防ぐという。

 

 総事業費は約1億6000万円で、年間400~500頭分の処理を見込んでいるという。東電福島原発事故後に、放射性物質が拡散した東北地方で、イノシシ専用の焼却炉の整備は初めて。
 

 現地で開かれた火入れ式には関係者約60人が出席。組合管理者の立谷秀清相馬市長が「処理を安全に進めたい」と述べ、関係者とともに、始動ボタンを押した。これによって、いのししを「安からかに」処理できる体制ができたことになる。

 

http://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/159721.pdf