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経済産業省 東電福島原発の放射性物質汚染水のトリチウム処理で、「海洋放出」を推奨。最短・低コストと。地元漁業関係者は漁業への影響を懸念(福島民友)

2016-04-20 13:23:51

ALPSキャプチャ

 

  経済産業省は19日、東京電力福島第1原発の汚染水で浄化後に残る放射性トリチウム(三重水素)の処分方法について、濃度を薄めて海中に放流する「海洋放出」が最も短期間に低コストで処分できるとする試算を明らかにした。

 

 トリチウム濃度を最も高く見積もった場合、海洋放出では全量処理までに7.3年、費用は34億円と試算した。

 

試算結果は報告書に盛り込み、政府の汚染水処理対策委員会に判断を委ねる。しかし、県内の漁協は浄化した汚染水の海洋放出に反発しており、今後理解を得られるかが課題となる。

 

 都内で19日開かれた有識者による作業部会で示した。処分量を1~4号機のタンク総水量と等しい80万トン、1日の処分量を400トンと想定。〈1〉希釈した上で深い地層に注入〈2〉海洋放出〈3〉蒸発させ大気放出〈4〉電気分解で水素に変化させて大気放出〈5〉セメントなどで固め地下に埋設―の五つの方法をさまざまな条件で試算した。

 

 トリチウムは水素の一種(放射性同位体)で、酸素と結びついて水になると通常の水と区別できない。このため、62種類の放射性物質を取り除ける多核種除去設備(ALPS)でも取り除くことはできない。

 

 トリチウムは原発の通常運転でも発生し、薄めるなどして濃度基準を下回れば海洋放出が世界的に認められている。国が定める放出基準は1リットル当たり6万ベクレル。原子力規制委員会の田中俊一委員長(福島市出身)は海洋放出すべきとの考えを示しているが、政府と東電は対応を明確にしていない。

 

 福島県漁業者は反対の姿勢

 

 県漁連の野崎哲会長は、試算結果を見ていないとした上で「海洋放出が安価なのは当然のこと。試算は社会的、産業的に考慮したものではないのではないか」と述べた。また「海洋放出は漁業者から認められるものではない。流せば福島の漁業は死んでしまう」と、改めてALPSで処理した水の海洋放出に反対する姿勢を示した。

 

 また、相馬双葉漁協の佐藤弘行組合長は「トリチウムを海洋放出したら漁業者の被害は計り知れない」と反発。「われわれの感情を踏まえて対策を講じてほしい」と訴えた。

 

 

http://www.minyu-net.com/news/news/FM20160420-067539.php