HOME13 原発 |福島県内の除染廃棄物の「中間貯蔵施設」本体工事始まる。だが、用地取得はわずか1割だけ。「県外での最終処分」の国の約束への不信感根強く残る(各紙) |

福島県内の除染廃棄物の「中間貯蔵施設」本体工事始まる。だが、用地取得はわずか1割だけ。「県外での最終処分」の国の約束への不信感根強く残る(各紙)

2016-11-16 13:24:29

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 環境省は15日、東京電力福島第一原発事故で発生した福島県内の膨大な除染廃棄物を保管する中間貯蔵施設を、県内の大熊、双葉両町で建設する本体工事に入った。同施設では汚染廃棄物を最大30年保管する。来年秋に運用を始める予定だが、用地取得は全体の1割にとどまっているほか、30年後の県外での最終処分の見通しは立っていない。

 

 中間貯蔵施設は国が2011年8月、福島県内に設置を要請。14年8月に県が受け入れを決めた。計画では約1600haの敷地に最大2200万㎥分の除染廃棄物を保管する。除染で出た廃棄物は15年3月から予定地内での一時保管場へ搬入されている。

 

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  ただ、今年10月末までに中間貯蔵施設のために確保できた用地は全体の約1割の約170haだけ。今回の貯蔵施設での推定容量は1カ所当たり約6万㎥で、2町合わせて約12万㎥。東京ドーム18個分と推計される貯蔵対象の汚染土壌容量の0.5%にすぎない。

 

 この日、工事に着手したのは、両町の民有地で敷地面積は合計で約14ha。今回着工した「受け入れ・分別施設」「土壌貯蔵施設」の他、今後は焼却施設や焼却灰の貯蔵施設も整備する予定。だが、今後、予定通りのスペースを確保できるかどうかは不明。工事着工も当初の2014年夏から2年遅れとなっている。

 

  中間貯蔵施設の建設が遅れている最大の要因は、地権者との交渉が難航し用地取得が進んでいないためだ。施設の全体面積約16㎢のうち、先月末までに国と契約を結んだのは約1割(約1.7㎢)にとどまっている。

 

 それでも、伊藤忠彦環境副大臣は「地権者や関係者の協力で用地取得が軌道に乗ってきた」との認識を示した。この日の作業に先立ち、双葉町の伊沢史朗町長と大熊町の渡辺利綱町長はそれぞれ、「土地を手放す地権者の思いに配慮し、事業に取り組んでほしい」などと工事関係者に呼び掛けた。

 

 政府は、中間貯蔵施設の使用開始から30年以内に県外で最終処分することを法律で明記している。昨年3月に保管場に土壌の搬入が始まったことから、2045年3月12日までに県外最終処分を完了することになる。

 

 しかし、最終処分場を県外に設置するメドは全く立っていない。中間貯蔵施設への地権者らの不信感は、結局、県外での最終処分場が建設できないままで、最後は、中間貯蔵施設が最終処分場になるとの懸念があるためだ。国の政策への不信は根強い。

 

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