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スイス 「2034年の脱原発目標の5年前倒し」案、国民投票で否決。エネルギー安全保障と温暖化対策への悪影響を懸念。脱原発は維持(各紙)

2016-11-28 11:54:45

swissキャプチャ

 

 各紙の報道によると、スイスは27日、2034年に予定している脱原発の時期を、約5年早めて2029年にすることの是非を問う国民投票が行ったが、反対多数で否決された。

 投票結果は、賛成45.8%に対し、反対54.2%で10%以上の開きがあった。全26州のうち20州で反対が多数を占めた。

 

  国民投票にかけられたのは、現在稼働している原発5基の運転年数を45年として、2017年までに3基を停止、さらに29年には残りの2基も停止するとの提案だった。

 

 スイスは2011年の東京電力福島第一原発事故後に、新規原発建設凍結と稼働中の5基の原発の段階的停止を決定している。予定通りだと、2034年には全基が停止し、脱原発が実現する。ただ、原発の運転年数を定めていないことから、国内では環境保護を重視する「緑の党」などから、「ドイツのように明確に脱原発に踏み切るべきだ」との声が出ていた。

 

 今回の国民投票も、「緑の党」などの主張を受けて、原発の稼働年数を明確化して、段階的な脱原発政策を示すことが目的だった。これに対して、政府やスイス経済界などからは「「現段階での脱原発には、代替エネルギーの石油・石炭火力の電力を輸入することにつながり、エネルギー安全保障上も、地球温暖化対策上も好ましくない」と反対していた。

 

 スイスでは1979年以来、原子力を巡って16回の国民投票や住民投票が行われている。これらの投票では、原子力技術の放棄や原発閉鎖につながる提案はすべて否決されてきたという。