HOME13 原発 |東京電力の福島原発事故による被害で、福島県浪江町住民と「加害企業」東電のADR交渉が決裂。町民は原発事故賠償を求め提訴。ADRのあり方にも疑問(各紙) |

東京電力の福島原発事故による被害で、福島県浪江町住民と「加害企業」東電のADR交渉が決裂。町民は原発事故賠償を求め提訴。ADRのあり方にも疑問(各紙)

2018-11-28 14:58:03

nasmieキャプチャ

 

 各紙の報道によると、東京電力福島第一原発事故で被害を受けた福島県浪江町民約1万5700人が、東電に事故の慰謝料増額を求めていた裁判外紛争解決手続き(ADR)の決裂を受け、浪江町民49世帯109人は27日、国と東電を相手に慰謝料など計13億1890万円の支払いを求め福島地裁に提訴した。

 

   福島民友などが報じた。請求額は1人1210万円として算出した。原発事故の責任を明確化するとともに、国と東電側が、早期の賠償問題解決を目指したADR解決への期待を裏切ったことに対する慰謝料を求めていく。

 

 原告弁護団によると、今回の提訴を第1次とし、今後の追加提訴によって原告数は最終的に1500~2000人規模になる見通しという。弁護団は12月から来年1月にかけ、県内外で訴訟に関する説明会を開く方針だ。

 

 訴状などによると、原告は事故当時10~84歳の町民。2011(平成23)年3月11日の原発事故によって、浪江町は全町避難を余儀なくされ、地域社会全体が破壊された。また避難した人々も被爆への不安や長期避難による精神的苦痛を受けた、としている。

 

 また東電はADRを担当する国の原子力損害賠償紛争解決センターが示した和解案を「尊重する」と公式に表明していたのに、町民が2013年に申し立てたADRでは和解案を何度も拒否してきた。原告らはこうした東電の姿勢によって町民は精神的損害を被ったとして慰謝料も求めた。

 

 提訴は町の集団ADR申し立てに取り組んできた前浪江町長の故馬場有氏の月命日に合わせて行われた。提訴後に会見した原告団長の鈴木正(68)=南相馬市に避難=は「ADRは裁判をせずに被災者を早期救済するための制度。にもかかわらず、東電の傲慢な態度によって、5年を費やしても目的を達成することができなかった。国と東電の責任を明らかにするため、原発事故の原因究明も求めていきたい」と語った。

 

 浪江町は人口約1万7000人(10月末時点)。これまで同町が住民の代理人としてADRを申し立てていた。紛争解決センターは慰謝料を一人当たり月5万円増額する和解案を示したが、東電側が拒否したため、今年4月に決裂していた。

 

 東電は「訴状が送達された場合には、請求内容や主張を詳しく聞いた上で真摯に対応する」とコメントしている。

http://www.minyu-net.com/news/news/FM20181128-329148.php