太平洋セメントなど官民6事業者、東電福島原発事故での除染土壌・焼却灰等のセシウム汚染分離・減量化の技術にメド(RIEF)
2018-12-14 11:30:20
東京電力福島第一原発の事故被災地で、放射性物質に汚染された土壌や焼却灰などを処理し、工事資材として再利用する事業に取り組んでいた太平洋セメントなど6社・団体は、事業化のメドが立ったと公表した。除染土壌や焼却灰から放射性セシウムを分離・除去し、放射能濃度を1kg当たり100ベクレル以下にしたうえで、低濃度化した生成物を、コンクリート製品の骨材、盛土材などに活用するという。
事業化は、環境省の受託事業。太平洋セメントのほか、日揮、太平洋エンジニアリング、日本下水道事業団、農業・食品産業技術総合研究機構、国立農林水産業研究センターが参画した。
事業者らは、福島県飯館村に仮設資材化施設を設置、2016年4月から実証作業を続けてきた。同地域等での除染作業で出た汚染土壌等500㌧を使って、太平洋セメントが保有する乾式セシウム除去技術によるセシウム分離の状況を点検した。同技術は汚染土壌等に反応促進剤を加えて、1350℃以上で加熱処理する手法。
その結果、除染した汚染土壌や、焼却灰などのセシウム量を1kg当たり100ベクレル以下に削減できたほか、高濃度の副産物の量を当初よりも約10分の1に縮減できた。これらの実績から事業者らは、中間処理施設での処理量を圧縮できると見込んでいる。残った生成物(100ベクレル以下)はコンクリート製品の骨材、盛土材など各種資材として使えるという。
関係各社では、今回得られた技術やノウハウを生かして、中間貯蔵施設での処理の実用化を進めるとしている。実証に活用した施設は、2019年3月末までに解体・撤去する。