九州電力、未計画の核燃料MOXの再処理費用事業費を電気料金に上乗せ。消費者に転嫁。関西電力に続く措置(各紙)
2019-04-02 11:12:21
各紙の報道によると、九州電力は1日、青森県六ケ所村に建設中の原発の使用済み核燃料の再処理工場の費用に加えて、現時点で具体的な計画がないプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を扱う別の再処理工場(第2工場)の事業費を、販売する電気料金への転嫁を始めた。関西電力がすでに実施、他の大手電力も今後追随する見込み。
使用済み核燃料を再利用するための再処理総事業費は、過去の試算によると約12兆円に達する。電力各社はこれまで、再処理事業費用の電力価格への転嫁や負担額、事業の工程について、費用を転嫁する先の消費者には十分に説明してこなかった。
九電や関電は2016年の政府による制度改正によって、MOX燃料を扱う第2工場分の費用も消費者負担とすることが認められたと説明している。
一方、九電は保有する原発4基の再稼働を受けて、主に一般的な家庭向け電気料金を2008年9月以来となる本格的な値下げに踏み切る予定。値下げ率は平均1.09%。ただ、2013年5月には平均6.23%の大幅値上げをしており、今回の値下げによる消費者への還元は極めて限定的といえる。
電気料金算定の根拠となる原価は、六ケ所村の再処理工場分と第2工場の合計費用として年約512億円と見積もっている。六ヶ所村の工場分だけだった13年の値上げ時の平均費用は約182億円だったことから、第2工場分が大幅な費用増要因になることになる。
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関西電力が、フランスに再処理を委託していた原発の使用済み燃料で製造したMOX燃料を来年にも日本に返送される計画であることが明らかになった。朝日新聞が報じた。再稼働した高浜原発3、4号機で燃やして、関電が海外に保有するプルトニウム約11㌧のうち約1㌧分の削減につなげるという。
政府は、原発からできるプルトニウムの量を現状の約47㌧を超えないように減らす方針で、MOX燃料化はその一つの方策でもある。六ヶ所村再処理工場が2021年に稼働すると新たにプルトニウムが増えることから、通常の原発でMOX燃料を使う「プルサーマル発電」を増やす方針だ。こうした政府方針を受けて、各電力会社は、MOX燃料の再処理費用を事前に手当てする形だ。
現在、プルサーマル発電は関電の高浜3、4号機のほか九電の玄海原発3号機、四国電力の伊方原発3号機の合計4基で行われている。ただ、最大で年間7㌧と見込んでいる六ケ所の再処理分や海外保有分を確実に減らすには、原発16~18基での導入が必要とされるという。
今後、プルサーマルが進む関西、九州、四国の3電力が、原発が再稼働できずに使用済核燃料の在庫を抱えたままの東京、中部両電力などの分を肩代わりする可能性もある、とされる。
https://www.47news.jp/national/science-environment/3425003.html