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九州電力川内1・2号機、来春停止へ。対テロ施設の完成遅れ。全国初。今後、関電、四国電でも。事故リスクだけでなく、テロリスクにも無防備な姿を露呈(各紙)

2019-06-14 20:36:28

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  各紙の報道によると、九州電力の川内原発1号機(鹿児島県薩摩川内市)が来年3月に運転を停止になるのが確実となった。テロ対策施設「特定重大事故等対処施設」の建設が遅れ、完成が期限に間に合わないためで、特重施設の完成遅れによる原発の稼働停止は全国初となる。川内2号機も来年5月に停止する見通し。

 

 原子力規制委員会は今月12日、特重施設が期限日の約1週間前までに完成していない原発については、保有する電力会社に運転停止を命じる方針を決めている。九電は現在、24時間体制で工事を進めているが、これ以上の作業強化は「労働安全上、大幅な短縮は難しい」との声が出ていた。

 

 川内1号機の期限は来年3月17日、2号機は来年5月21日。九電関係者は「特重施設の完成が期限に間に合わず、稼働を停止するのは確実だ」と認めた。いずれも期限の翌日に停止する。

 

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 九電は、川内1、2号機が停止しても管内の火力発電などで代替できるため、電力供給自体には支障が出ないとしている。ただ、両機が停止した場合、代替的に発電する液化天然ガス(LNG)火力発電の操業費用として毎月80億円のコスト増が生じる、としている。九電は両機の運転停止期間は約1年間は続くと見込んでおり、同社の業績にも影響が続きそうだ。

 

 九電では川内のみならず、玄海原発3、4号機(佐賀県玄海町)の特重施設も完成が2022年中の設置期限に間に合わず、運転停止となる可能性がある。

 

 他の電力各社も同じ状況だ。もっとも多く原発を抱える関西電力では、現時点で、福井県内にある大飯、高浜等の3原発7基すべてで施設設置が間に合わない見通し。

 

特定重要施設のイメージ
特定重大事故等対処施設のイメージ

 

 最も早く期限を迎える高浜3号機は2020年8月、同4号機は同年10月に期限を迎え、現時点では完成までに期限から1年を要する見通し。四国電力も伊方原発3号機(愛媛県)が21年3月に期限を迎えるが、同様に施設の工事完了までに1年超過する見通し。

 

 特定重大事故等対処施設は、航空機の衝突などのテロ攻撃で原子炉が大きく破壊された場合でも、遠隔操作で冷却を維持し、放射性物質が漏れるのを抑制するための施設。略して「特重施設」。緊急時制御室や電源設備、冷却ポンプを備え、原子炉建屋から100m以上離すことで同時に被災する事態を避ける。

 

   同施設は、原発本体の工事計画の認可後、5年以内に設置しなければならない。原子力規制委員会は、同施設が期限日の約1週間前までに完成していない原発に関し、電力会社に運転停止命令を出す方針を決めている。

 

https://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2019061490135902.html