HOME13 原発 |東京電力福島第一原発事故で太平洋に流出した放射性物質セシウム134、北米海岸までたどり着き、海流循環で再び日本へ。汚染濃度は極めて低く、生物に影響ないという(各紙) |

東京電力福島第一原発事故で太平洋に流出した放射性物質セシウム134、北米海岸までたどり着き、海流循環で再び日本へ。汚染濃度は極めて低く、生物に影響ないという(各紙)

2019-06-16 17:54:12

kaiyou1キャプチャ

 

 各紙の報道によると、東京電力福島第一原発事故で太平洋に大量に流出した放射性物質が、再び、親潮に乗って付近に戻ってくる。海洋研究開発機構などの研究チームが分析した。海洋に流出した放射性物質は東に流れ、北米大陸に到達後、すでに西向きに流れ始めたという。濃度はごく低く、生物に影響を与えないレベルだが、現在、福島原発内のタンクに大量保管されている放射性汚染水の海洋投棄論にも影響を与えそうだ。

 

 海洋研究開発機構などのチームは、東電事故後、海洋中の放射性物質の濃度を調査している。事故後3年の2014年に実施した調査では、セシウム134が西経150度付近で検出され、西方向に流れていた。

 

 それが6年後の2017年調査では、北半球の亜寒帯域にある、反時計回りに流れる海流「亜寒帯循環」の海流に乗って、北米の西海岸到達後に北に向かったと判断した。

 

 そこで米国とカナダの西海岸の沖合とベーリング海を調べたところ、北太平洋の計23カ所の海水からセシウム134を検出した。セシウム134は水に溶け、深さ約200mまでの表層に塊のような状態で分布し、300mより深いところでは検出されなかった。

 


 濃度は海水1㎥当たり最大0.8ベクレル。国が定める飲料水の基準値(1㍑当たり10ベクレル)の1万分の1以下と微量になっている。セシウム134の半減期は約2年とされることから、事故当時は6ベクレル前後だったとみられる。半減期が約30年のセシウム137が検出されたのかどうかは言及されていない。

 

 海流の流れを分析した結果、発見された放射性物質は、今後、親潮によって日本付近に戻ると予想されるという。濃度はさらに減少するとみられるが、広い太平洋とはいえ、海流の影響で循環していることが改めて確認された。

 

  
 研究チームの熊本雄一郎・同機構主任技術研究員(海洋化学)は「放射性物質を目印として北太平洋の循環を明確に見ることができた。海の循環を知ることは気候変動の将来予測にも欠かせない」と話している。

 

https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201906/20190614_63040.html