HOME |ロシア政府、世界初の洋上原発「ロモノソフ号」に操業免許、8月にシベリアのチュクチ自治区に移動。 |

ロシア政府、世界初の洋上原発「ロモノソフ号」に操業免許、8月にシベリアのチュクチ自治区に移動。

2019-07-01 08:21:20

ムルノフ港に係留されているロモノフ号

 

  ロシアの連邦環境・技術・原子力監督庁(Rostechnadzor)は、ロシアの原子力企業ロスアトムが所有する世界初の洋上原子力発電所の「“Akademik Lomonosov(アカデミック・ロモノソフ)号」の操業免許を交付した。ロモノソフ号は8月にシベリアのチュクチ自治管区のぺヴェクに移動する。今年末には同地区への電力供給を実施する予定。

 

 (写真は、ムルマンスク港に係留されているロモノソフ号)

 

 ロモノソフ号は、ロシア政府が100%株を所有する統一民間原子力体のアトムエネルゴプロムの子会社OKBMアフリカントフが設計した改修型の35MWe KLT-40S 原子炉2基(発電能力70MW)を搭載している。熱出力300MW。原子炉を乗せている船は長さ144m、幅30mほどで、排水量が21,500㌧。乗員69人。

 

romonofu2キャプチャ

 

 同船の名前は18世紀のロシアの科学アカデミー会員だった博学者のミハエル・ロモノーソフに由来している。砕氷機能を有し、低濃縮ウランの燃料交換のため3~4.5年ごとに、ノルウェー・フィンランドとの国境に近いムルマンスクの港に移動する。運行速度は3.5~4ノットという。操業期間は他の原発同様、40年。

 

 チュクチ自治管区では現在、小規模な原発と石炭火力発電所が電力を供給しているが、電力不足の懸念があることから、ロモノソフ号が代替する。10万人に電力を供給できるという。

 

 同船は2010年6月にいったん進水した。だが、2012年に造船所が倒産し、サンクトぺテルブルグ裁判所に差し押さえられていた。手続きの遅れが続き、昨年4月、ようやくペテルブルクの港を出て、基地となるムルマンスクに移っていた。http://rief-jp.org/ct4/79516

 

romonof4キャプチャ

 

 ロシアでは現在、ロモノソフ号に代わる「第二世代の洋上原発」の開発が進んでいる。「最適洋上電力ユニット(Optimised Floating Power Units)」と呼ばれ、最新のRITM-200M原子炉(50MWe)を2基、搭載できる。

 

 同船の場合、燃料交換は10~12年ごとで済む。また原子炉自体がロモノソフ号搭載のものに比べて、1基で1500㌧軽くなることから、船の排水量も12,000㌧と半減する予定。操業期間は60年に延長される可能性もある。

 

 ただ、洋上原発はいずれも砕氷機能を有しているとはいえ、航行する北極圏には海氷があり、荒天のリスクもある。こうしたことから、環境NGOらは航行時の衝突リスクの可能性を指摘、「ニュークリア・タイタニック」と批判している。

http://www.world-nuclear.org/information-library/country-profiles/countries-o-s/russia-nuclear-power.aspx