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ローマ教皇フランシスコ、訪日からの帰国便の機中記者会見で、「原発は完全に安全が保証されるまでは利用すべきではない」と言明(各紙)

2019-11-27 18:23:19

Pope2キャプチャ

 

  日本とタイを訪問したローマ教皇、フランシスコは26日、ローマ・バチカンに戻る特別機の機中で開いた記者会見で、原発問題に触れ、「原発はひとたび事故となれば重大な被害を引き起こす。完全に安全が保証されるまでは利用すべきではない」と明言した。教皇庁(バチカン)はこれまで原発の是非について立場を明確にしていなかったが、教皇は一歩踏み込んで発言した。

 

  (写真は、機中で記者会見するローマ教皇フランシスコ)

 

Vatican NEwsが伝えた。会見で教皇は、訪日を振り返って、24日に広島、長崎の両被爆地を訪問したことに言及、「深く胸に刻まれる体験だった」と述べた。特に、被爆者自身の体験を直接聞いたことを踏まえ、「とても強く心を動かされた」と語った。広島と長崎の両被爆地をともに訪問したことは、自らの希望で実現したことを明らかにした。

 

長崎で慰霊碑に頭を垂れる教皇
長崎で慰霊碑に頭を垂れる教皇

 

 「長崎と広島を訪問して何を感じたか」という問いに対して、教皇は、長崎と広島はどちらも原爆で苦しんだ、と述べつつ、「一つの違いは、長崎はキリスト教が古くから根付き、激しい迫害があったこと」と指摘。広島については「キリスト教的な都市ではないが、残酷とはどういうものであるかを、真に人類に教える場所」と話した。

 

 一方、原発問題ついては、訪日中の25日、東日本大震災被災者や東電福島第一原発事故避難者を前にした演説で、「日本の司教は原発の廃止を求めた」と述べたものの、自らの言葉で原発に対する明確な意見は表明していなかった。

 

 しかし、記者会見では、原発の事故の可能性について、福島事故や1986年の旧ソ連のチェルノブイリ原発事故を例示しながら、「事故はいつでも起こり得る。甚大な災害が発生しない保証はない」「原子力使用は完全な安全性を確保するに至っていないという意味で限界がある」と指摘した。そのうえで、個人的な意見とした上で、安全性の点から原発の使用に懸念を示した。

 

 

広島で演説する教皇
広島で演説する教皇

 

 教皇は核兵器についても言及した。核兵器の使用だけでなく、保有についても「倫理に反する」と改めて強く非難した。そのうえで、世界で今後も核保有が続けば、偶発的な事故や政治指導者の侠気によって、「人類が滅びかねない」と懸念を表明した。

 

 今回の東洋の2カ国の訪問を踏まえて西洋と東洋の違いについての質問に対して、教皇はlux ex Oriente, ex Occidente luxus「光は東方より、贅沢は西方より」という言葉(※「光は東方より、法は西方より」という古代ローマの箴言をもじった言葉)を引用し、「光は東方からだが、贅沢、消費主義は西方から来る」と述べた。

 

 さrない「東方にはまさに知恵がある。それは単なる知識上の知恵ではなく、時間や観想の知恵であり、常に急いでいる西洋社会に対し、観想を学ばせ、立ち止まり、物事を詩的に見ることを教えてくれる。東洋は物事を超えた彼方を見つめる力があり、『超絶性』という言葉をあえて使うことなく、内在性の限界を超えるビジョンを持っている」などと指摘した。

 

 そのうえで、教皇は、「西洋人は少し立ち止まり、叡智のために時間を割くとよいだろう」と述べた。

 

https://www.vaticannews.va/ja/pope/news/2019-11/papa-in-giappone-roma-intervista-a-bordo-20191126.html