HOME |東京オリンピック/パラリンピックの聖火リレー出発地点の福島・Jヴィレッジ、高濃度放射線量検出。毎時71マイクロシーベルト。除染目安の約300倍。再汚染か、除染手抜きか。グリーンピースが調査(RIEF) |

東京オリンピック/パラリンピックの聖火リレー出発地点の福島・Jヴィレッジ、高濃度放射線量検出。毎時71マイクロシーベルト。除染目安の約300倍。再汚染か、除染手抜きか。グリーンピースが調査(RIEF)

2019-12-05 15:47:27

Jvillege1キャプチャ

 

   環境NGOグリーンピース・ジャパンは4日、来年のオリンピック/パラリンピックの聖火リレーの出発点になる予定の福島県広野町・楢葉町のJヴィレッジで行った放射線調査で、最大で地表面接触で毎時71マイクロシーベルト、高さ1mで1.7マイクロシーベルトの高濃度放射線量を計測した、と公表した。計測時にはJヴィレッジではサッカーの試合が行われていたという。

 

 グリーンピースの調査は、10月16日から11月5日にかけて、Jヴィレッジ周辺、福島市、浪江町、飯館村、大熊町、阿武隈川・新田川川岸でそれぞれ実施した。Jヴィレッジでは10月26日に実施した。調査結果は詳細な分析をしたうえで、2020年2月に報告書としてまとめる予定。

 

 今回測定した放射線量は、トレーニングセンター近くの駐車場では、地表面で毎時71マイクロシーベルトに上った。これは、除染の目安である毎時0.23マイクロシーベルトの308.7倍、2011年3月に発生した東電福島原発事故前のレベル(毎時0.04マイクロシーベルト)の1,775倍になる。

 

 GPキャプチャ

 

 グリーンピースのエネルギー担当の鈴木かずえ氏は、「2011年以降のグリーンピースの放射線調査で発見されたホットスポットの中でも、非常に高いレベルの放射線量」と指摘している。

 

 グリーンピースはこの調査結果を、小泉進次郎環境相のほか、山下泰裕日本オリンピック委員会会長、鳥原光憲日本パラリンピック委員会会長、国際オリンピック委員会(IOC)トーマス・バッハ会長らに宛てて、情報提供するとともに、至急、対策をとるよう要請した。

 

  Jヴィレッジでの調査は、周辺道路に沿って検査機器を路面から1mの高さに搭載した自動車を走行させて毎秒空間線量率を測定したほか、トレーニングセンター近くの歩道を同様に検査機器を持って歩行しながら計測、さらにトレーニングセンター近くのホットスポットでも、地表から10cm、50cm、1mの各高さで線量率を測定した。

 

 いずれも除染作業をすでに実施した、とされる地域だが、グリーンピースでは「大雨がこれらの高レベルの汚染を公道に広げて、すでに除染された地面を再汚染するリスクがある」「今回のホットスポットは、再汚染が原因と考えられるレベルより高いレベルの汚染であるため、そもそも除染が十分に徹底されていなかった可能性があると考えるほうが論理的」と指摘している。

 

 さらに、これらの地域では、「すでに除染が行われた」との理由で、現在、一般の利用に使われており、人々の健康への影響が憂慮される。特にJヴィレッジでは東京オリンピックの聖火リレーの開始地点になっており、オリンピック誘致の際、安部首相が宣言した「福島(原発事故の影響)はコントロールされている」との発言が、改めて有名無実だったことを示す一例といえる。

 

 グリーンピースは環境相らへの書簡の中で、①Jヴィレッジ周辺の公共エリアや周辺のオリンピック/パラリンピック会場の即時かつ広範囲の放射線調査とホットスポット調査の実施。市民がアクセスするエリアの高レベルの汚染の除去を、再汚染を引き起こす前に実施すること②今回特定されたホットスポットだけでなく、公共エリアのより広い範囲の土壌(草、森林)の除染③公共エリア除染後の定期的モニタリング、そのフォローアップとしての除染–を求めている。

 

https://www.greenpeace.org/japan/sustainable/press-release/2019/12/04/11757/