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東京海上ホールディングス、2021~2023年度の中期経営計画公表。再エネ保険強化で洋上風力発電事業の引き受けを50億円強、市場拡大に備える。自然災害対応はリスク分散重視(RIEF)

2021-05-31 23:27:04

Tokio001キャプチャ

 

 東京海上ホールディングスは、2021~23年度の中期経営計画を公表した。その中で、政府が「2050年ネットゼロ」で再エネ戦略の中心に据えている洋上風力発電事業の保険引き受けを重点戦略の一つに据え、期間中の引受目標を50億円前後とし、2030年の市場拡大に備える方針を示した。また気候変動激化に伴う巨大自然災害に備え、再保険に加えて経済合理性を踏まえたリスク分散を重視するとしている。

 

 中期経営計画では、同社の温室効果ガス排出量について2030年度までに15年度比60%削減を目指し、 電力消費量に占める再エネ比率について、本社等の主要拠点は2030年度までに100%化を完了する。 東南アジア等で展開するマングローブ植林による吸収源を考慮に入れると、同社はカーボンニュートラルを7年連続で達成している。マングローブ植林による経済的価値は2038年度までで累計3000億円を超える見込み。

 

 洋上洋上風力発電事業については、2020年3月、同発電事業のリスクを包括的に補償する専用パッケージ保険を開発している。同年6月には、グループの米国HCC International Holdings, Inc.社を 通じて再エネ事業向けの保険引受を行う保険総代理店GCube社を買収した。グループ会社の東京海上日動リ スクコンサルティング社開発した自然災害リスク評価モデル等を動員して洋上風力発電事業の保険引き受け体制を強化する。

 

 洋上風力発電事業の立ち上がりはこれからであり、中期経営計画中は発電事業本体よりも準備段階での事業や研究開発等が保険対象になるとみられる。今後、拡大が見込める同事業をはじめとする再エネ事業に関連する保険商品・サービスの開発強化のため、2月にグループ横断の新組織「グリーン・トランスフォーメーション(GX)タスクフォース」を設立したが、専門的に取り組む新組織GX室を6月中に立ち上げる。

 

 開発を目指す再エネ・新エネ関連の保険商品は、国内洋上風力発電事業関連の保険商品の開発 ・ 蓄電池の普及、水素活用の促進、CCS・CCUS等の新技術の確立に資する保険商品の研究・開発 ・ 分散型エネルギーシステム構築に向けた地方自治体・企業への支援 等を想定している。CCSや水素等は依然、実用化に向けてのリスクが高いことから、研究・開発リスクをカバーし、実用化を促進する保険商品・サービスの開発に力を入れる。

 

 保険引き受け事業の主軸である火災保険については、気候変動の激化による自然災害の増大等により、毎年、保険金支払いが増えるため収益改善が課題となっている。同社は、大規模な巨大自然災害(キャピタルイベント)への対応はリスク分散を軸とし、再保険によるアーニングスカバーは経済合理性で判断する方針を示している。

 

 防災・減殺によるリスク対応では、水災危険度予測システムによって、浸水エリアの即時予測により危険度が高まるエリア等を「見える化」することで、豪雨発生時の自治体の意思決定を支援し、地域住民の被害を最小限に抑えたり、災害復旧専門会社の洗浄技術を活用し、事業の早期再開支援等で損害率を低減させる対応を強化する。

 

 気候関連リスクについての情報開示では、TCFD提言に沿った開示を充実させるほか、中央銀行等で構成するNGFSに基づく気候変動リスクへの適切な対応も進める。

 

https://www.tokiomarinehd.com/release_topics/release/l6guv3000000c8rg-att/20210528_MTP_j.pdf