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SOMPOホールディングス、2025年1月までに温室効果ガス削減計画のない「石炭事業を主業にする企業」向け保険引き受け、投資の停止を発表。事業だけでなく、企業も対象にするのは初(RIEF)

2022-06-29 21:17:07

SOMPO001キャプチャ

 

  SOMPOホールディングスは、2025年1月までに温室効果ガス(GHG)削減計画の策定がない「石炭事業を主業にする企業」等の保険引受および投融資を停止すると発表した。気候変動の観点から保険引受や投融資対象を企業単位で制限する方針を掲げたのは、日本の金融機関として初となる。環境NGOも同社の対応を歓迎し、他の大手金融機関の追随を求めている。

 

 SOMPOが公表したのは「ESGに関する保険引受・投融資等に関する方針」。同社は、保険引受ポートフォリオのGHG排出量ネットゼロを目指す「NetZero Insurance Alliance (NZIA)」に加盟するとともに、今回の保険引受・投融資等への取組方針を明らかにした。NZIAは2050年までに保険引受ポートフォリオのGHG排出量をネットゼロにすることを目指している。

 

 同社では、石炭火力発電所および炭鉱開発(一般炭)の各事業については、新設・既設にかかわらず、新規の保険引受や投融資は行わないとの事業ベースの「脱炭素化」方針に加えて、オイルサンドと北極野生生物国家保護区(ANWR、 Arctic National Wildlife Refuge)でのエネルギー採掘活動でも、新規の保険引受およ び投融資は行わない、とした。

 

 そのうえで、石炭事業を主業としながらHG削減計画を策定していない企業向けの保険引き受けおよび投融資について、2025年1月までに停止するとした。さらにANWRのエネルギー採掘活動に関わる企業の保険引き受けおよび投融資も行わない。

 

 対象となる企業は、収入の30%以上を石炭火力発電、一般炭鉱山、オイルサンドの採掘から得ている企業、 または 30%以上のエネルギーを石炭で発電している企業としている。

 

 環境NGOの気候ネットワーク(KIKO)は「今回のSOMPOの先駆的な取り組みを歓迎するとともに、他の大手金融機関も、同水準以上の方針を早急に策定するよう要請する」としている。同時に、今回SOMPOの方針では、「石炭事業を主業とする企業」等に求められるGHG削減計画の内容について、特に要件を設定していない点に「大きな課題を残したまま」と指摘している。

 

 KIKOでは、対象企業に対してScience Based Targets(SBT)に準拠した移行計画を掲げること等、パリ協定の長期目標と整合的な移行計画を求める必要がある、としている。対象とする企業の石炭関連事業からの収入比率を30%以上とする点についても、国際金融公社(IFC)等の石炭関連企業のスクリーニング時のデータを元にする独NGOのウルゲバルトでは、「30%だと実際に石炭事業を拡大している企業の半数程度しかカバーしない」として、20%を閾値としている点を指摘し、さらなる条件の強化を求めている。

https://www.sompo-hd.com/-/media/hd/files/news/2022/20220628_1.pdf?la=ja-JP

https://www.kikonet.org/info/press-release/2022-06-28/sompo-coal-divestment