東京海上アセットマネジメント。「ネットゼロ・アセット・マネジャーズ・イニシアティブ(NZAM)」から離脱。資産運用機関の国際金融同盟からの日本勢の離脱は初めて(各紙)
2025-03-27 12:26:04

各紙の報道によると、東京海上ホールディングス傘下の東京海上アセットマネジメント(TMAM)は、気候変動に関する運用会社の国際枠組み「ネットゼロ・アセットマネジャーズ・イニシアチブ(NZAM)」を脱退していた、と報じられた。銀行で構成する「ネットゼロ銀行同盟(NZBA)」からの日本勢の離脱は相次いでいるが、資産運用機関対象のNZAMからの日本勢の離脱はTMAMが初めて。国連主導の金融業態ごとの「ネットゼロ同盟」参加する米系金融機関に対しては、米トランプ政権や米共和党からの圧力がかかってきたが、TMAMがそうした圧力を受けていたかどうかは不明。
日本経済新聞電子版が報じた。TMAMの離脱は、2月末だったとしている。NZAMもTMAMも、同社の離脱について公表していないことから、メディアでの報道も遅れる形となった。
報道では、TMAMのコメントとして「当社がNZAM加入時に想定していた期待、加入により求められる内容が今日の社会課題解決につながっているかなど、改めて加入意義について検討した結果、脱退することにした」と紹介されている。また「脱炭素社会への移行に貢献する方針およびこれまでの取り組みを変更することはない」と述べているともしている。
NZAMからの署名金融機関の離脱は、今年1月初めに、世界最大の資産運用会社の米ブラックロックが離脱している。同社は昨年11月、テキサス州などの共和党主導の米10州から、他の運用会社のステートストリート、バンガードグループとともに、反競争的取引慣行をとって石炭市場を人為的に縮小する共謀を行ったとして、反トラスト法(独占禁止法)違反で訴訟を提起されている。同社はNZAMからの離脱理由について「NZAMの会員でいることで当社の対応に混乱が生じ、各方面から法的問い合わせを受けた」と説明している。
NZAMには日本からもTMAMのほか、野村アセットマネジメント、大和アセットマネジメント、三菱UFJアセットマネジメント、SOMPOアセットマネジメントなどの主要な運用会社が署名参加してきたが、報道では26日時点ではTMAM以外の運用機関の離脱追随の動きはないとしている。
NZAMもTMAMの離脱については言及していない。同団体はブラックロックが離脱した際の声明では、「 投資家の撤退は残念だが、(NZAMは金融機関の)自主的な取り組みであるため、署名者が下す個々の決定は尊重する」としたうえで、NZAMの意義について、「気候変動リスクは金融リスクだ。NZAMは投資家がこれらのリスクを軽減し、経済がネットゼロに移行するメリットを実現できるよう支援するために存在している。NZAMは、受託者責任と顧客の長期的な財務目標に沿って、投資家がエネルギー転換における独自の道筋を見出すことを支援し、世界中の投資家を成功裏にサポートしている」と説明した。
ブラックロックの離脱後、NZAMは各国の規制状況などを踏まえて組織の方針や活動を見直すと表明し、現在、見直し作業を継続中としている。そのため、現在は、サイトに掲載していた署名企業の一覧表などは削除している。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB26A700W5A320C2000000/?type=my#AAAUAgAAMA
https://www.netzeroassetmanagers.org/statement-on-blackrocks-departure-from-the-initiative/