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東電の社外役員は機能したか?小宮山宏元東大総長ら(FGW)

2011-05-22 11:02:21

東京電力の福島原発事故で、同社のリスクマネジメントが十分に機能しなかったことについて、同社全体の構造的な内部統制上の懸念が生じている。経営陣のリスクマネジメント意識の欠如を監視、補う役割の社外役員の責任も問われ始めている。同社にはステークホルダーの代表として2人の社外取締役、4人の社外監査役がいるが、彼らは今回の事故に際して、どのように役割を発揮したのだろうか?

同社の社外取締役は、第一生命会長の森田富治郎氏、元東京都副知事(明治大学教授)の青山たかし氏、社外監査役は元東大総長(三菱総合研究所理事長)の小宮山宏氏、資生堂監査役の大矢和子氏、元英国大使の外務官僚OB林貞行氏、弁護士の高津幸一氏である。

二人の社外取締役は、ともに大株主の代表のようだ。東電の有価証券報告書(2010年3月末)によると、森田氏が属す第一生命は東電株を4.07%保有する第二位の大株主。また第一生命から資金の借り入れも行っている。青山氏がかつて所属していた東京都も3.15%を保有する第5位の株主。両株主とも、東電株の下落で、多額の含み損を被っており、減損処理を余儀なくされている。

監査役は、「取締役会その他の重要な会議への出席、本店及び主要な事業所における業務及び財産の状況の調査等により、取締役の職務執行状況等について、厳正な監査を実施」(同社有価証券報告書)ことを役割としていることから、社外監査役も株主総会でどのように役割を果たしたのかの説明が期待される。社外監査役は、幅広い経験と見識等をもとに、中立の立場から客観的な視点に基づき代表取締役及び取締役会に対して質問や意見を述べ、取締役の職務執行を監査する立場にある。