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東京海上日動 グローバル企業のサプライチェーン(取引先)で人権問題が生じた場合の賠償費用等を補填する新型保険開発。コー円卓会議などの「改善アドバイス」付き(各紙)

2017-04-11 16:19:52

Tokioキャプチャ

 

 各紙の報道によると、東京海上日動火災保険は取引先企業で強制労働や児童労働などの人権問題が発覚し、消費者からの不買運動などが起きた際の対策費用を支払う保険を開発、4月から販売し始めた。保険加入を広めるため、NPO法人の経済人コー円卓会議日本委員会(CRT)と提携したという。

 

 日本経済新聞が報じた。新保険の支払い対象は、企業がグローバルなサプライチェーンで調達した物品を、調達先の人権上の理由で廃棄処分せざるを得ない場合の在庫費用や、輸出できなくなった場合の積戻し費用、調達先の変更費用、人権問題を引き起こした納入先への損害賠償費用なども含める。保険料や保険金の支払限度額は企業の業種、規模などによって個別に設計するオーダーメードの形をとる。

 

 日本企業もグローバル市場での原材料や部品の調達先の拡大や、業務の外注化等が進んでいる。製品・サービスのサプライチェーンで人権問題等が発生すると、自社ブランドの製品・サービスへのボイコットなどが発生するリスクがあり、そうしたリスクへの備えを保険で担保する。

 

 提携先のCRTは、日本企業のCSR活動を促進する目的で設立され、2011年以来、人権デューデリジェンスワークショップを毎年開催するなど、人権問題に力を入れている。

 

 今回の保険では、東京海上は保険加入を希望する企業があれば、CRTに紹介する。それを受けてCRTは個々の企業のサプライチェーンを評価しながら改善策などを助言する。そうしたプロセスに沿って対応する企業は保険に加入できる仕組み。CRT以外の団体を通じた改善指導でも、その効果が十分と認められれば加入できるという。

 

 こうした改善プロセスの条件付けは、サプライチェーンでの人権問題のチェックをなおざりにして、将来の損害だけを保険でカバーしようとする「リスクの高い企業」から、同保険が「逆選択」されないようにする狙いがある。

 

 東京海上自体、「グループCSR憲章」で、人権の尊重を明記しており、その精神を自社の保険製品・サービス開発に反映させた形となる。したがって今回の保険は「ESG保険」とも呼べる。

 

http://www.tokiomarine-nichido.co.jp/

http://www.tokiomarinehd.com/sustainability/governance/humanrights.html