HOME10.電力・エネルギー |エネルギーのシナネン。そよ風よりも弱い微風で発電するマイクロ風力発電事業に参入。秒速2mで発電可能。360度の全方位の風をキャッチ。住宅や企業の「屋根置き風力」が可能に(RIEF) |

エネルギーのシナネン。そよ風よりも弱い微風で発電するマイクロ風力発電事業に参入。秒速2mで発電可能。360度の全方位の風をキャッチ。住宅や企業の「屋根置き風力」が可能に(RIEF)

2020-03-13 15:50:58

shinanen2キャプチャ

 

    シナネン(東京都港区)は、グローバルエナジー(静岡県浜松市)と共同で、微風でも発電可能でマイクロ風力発電事業に参入すると発表した。毎秒2mの微風でも発電でき、360度の全方位からの風を発電に利用できるという。静音性も高いことから、自宅や会社の屋上への設置も可能。太陽光発電に続いて、「屋根置き風力発電」が広がる期待もある。

 

 同社はマイクロ風力事業に進出するため、シナネン100%出資の新会社Sinagy Revoを設立、マイクロ風車搭載製品の開発製造および販売・メンテナンス事業を展開するとしている。

 

 「微風でも発電」ができるのは、グローバルエナジー社が、剛性を兼ね揃えた特殊な形状の軽量ブレード(羽)の開発に成功したため。同社のブレードは平均風速約1m/sで回転し出し、約2m/sの風速になると、発電が可能になる。

 

キャプチャ

 

 12段階の風速を分類するビューフォート風速階級表によると、風速2m/sは風力ゼロから3番目の「軽風」の範囲(1.6~3.3m)。「顔に風を感じる。木の葉が動く。風見も動きだす」状態をいう。そよ風(軟風:gentle breeze、3.4~4.5m)よりも優しい。

 

 これまでの日本国内の小型・マイクロ風力発電は太陽光発電と並んで再エネ発電の中心として期待されてきた。だが、ブレードの重さ、素材、形状等が原因となって騒音問題や落下事故等の課題を引き起こしてきた。風力発電研究を続けてきたグローバルエナジーは、試行錯誤の結果、今回の低風力でも発電できるマイクロ風車の開発に成功した。

 

 シナネンは、マイクロエナジー社の技術を評価、協業という形で「微風マイクロ風車」の開発・販売に乗り出すことになった。剛性を兼ね揃えた超軽量 ブレードと、発電効率を高める特殊な形状を備えることで、風車自体の軽量化と高い発電効率、安全性の確保が同時に実現可能になった、という。

 

sinanen4キャプチャ

 

 シナネンが新たに設立する Sinagy Revo では、マイクロ風車を主にポール型完全独立電源装置と屋上用風力発電装置を開発・販売する方針という。ポール型完全独立電源装置は、防犯カメラ、LED 照明、WiFi などの通信装置、 小型蓄電池を搭載し、災害時の電源インフラとしての活用が期待されるという。仮に、全国約 7万5000 か所の避難場所に設置すれば、停電時の夜間照明のほか、災害時の安否確認に必要な通信ネットワークと電源の提供で、避難者の安心安全に寄与できる。

 

 また風車が回転時の風切り音は30db(デジベル)程度。屋上に設置した場合、設置場所から数mも下がった地点では、人の耳ではほとんど聞こえないレベルにまで下がるという。このため、同社は市街地のビルや家屋の屋上での設置も可能としている。「屋根置き」なのだ。

 

 発電した電力を使った防犯カメラと通信ネットワークによ り、スマホやPCで避難所の状況確認ができるため、自治体の防災体制の効率化にも役立つとしている。また企業が独自に備えることで、非常時のBCP対応にもなる。

 

http://www.sinanen.com/news/pdf/20200306.pdf

http://www.globalenergy.co.jp/