年金積立金管理運用独立行政法人（GPIF）。新理事長に農林中金元副理事長の宮園雅敬氏。高橋則広理事長、水野弘道理事は退任。4月1日付（RIEF）
2020-03-24 10:52:50
厚生労働省は24日、公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人（GPIF）の理事長GPをはじめとする3人の理事を一新する人事を決めた。高橋則広理事長は退任し、新たに同じ農林中央金庫出身で、現在企業年金連合会理事長の宮園雅敬氏（66）が就任する。最高投資責任者（CIO）の水野弘道理事も退任する。GPIFの理事間では昨年来、不祥事問題が表面化、対応が注目されていた。
もう一人の理事、三石博之氏（厚生労働省出身）も退任するとみられる。新人事は4月1日付となる。
GPIFでは昨年10月中旬に、高橋理事長が、部下の女性職員との不適切な関係等を指摘する内部通報を適切に処理しなかったとして、GPIF経営委員会から減給（20％）6カ月の処分懲戒処分を受けている。その後、メディアの報道で、対象とされた女性の代理人弁護士がGPIFに対し「女性に不適切な関係を迫ったのは（厚生労働省出身の）別の理事」とする内容の告発書（通知書）が送付され、理事間の対立が表面化した。http://rief-jp.org/ct4/96789
高橋理事長への処分は、GPIF経営委員会（平野英治委員長）が出したものだが、報道した東洋経済新報によると、同処分は「不適切な関係」の事実確認はできず、理事長を告発する怪文書が届いていながら、監査委員などに内部通報しなかったことを処分理由とするなど、「経営委員会は枝葉の理由をつけて理事長処分に踏み切った」と指摘している。http://rief-jp.org/ct4/95150?ctid=74
今回の理事長以下の交代は、こうした内部紛争を一掃する形となった。ただ、理事長処分を出した経営委員会自体の判断の適否については不明確なまま。平野委員長をはじめとする経営委員会の責任も明確にする必要があると思われる。
宮園雅敬氏（みやぞの・まさたか） 1976年（昭51年）東大法卒、農林中央金庫入庫。11年副理事長。19年企業年金連合会理事。
Research Institute for Environmental Finance