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英家電メーカーのダイソン、英首相の要請を受け、新型コロナウイルス感染者用の独自の人工呼吸器を10日間で開発。英政府に1万ユニット納入(RIEF)

2020-04-02 15:07:49

Dyson1キャプチャ

 

 各紙の報道によると、ユニークな掃除機やドライヤーで知られる英家電メーカーのダイソン(Dyson)が、自らも新型コロナウイルスに感染したボリス・ジョンソン英首相の要請に応えて、わずか10日間で、イチから人工呼吸器を完成させた。まず、1万ユニットを製造、英政府に納入するほか、さらに5000ユニットを追加製造して英政府に寄付するとしている。まさに企業のCSR活動の典型であり、日本企業も見習ってもらいたい。

 

 (写真は、ダイソンが、10日間で設計した「コロナ専用の人工呼吸器)

 

 Engadget等によると、ダイソンは創設者のジェームス・ダイソン氏が、ジョンソン首相からの個人的な要請を受けてたという。ダイソン氏は、急きょ、人工呼吸器の設計を指示。The Technology Partnership (TTP)と協業し、短期間で人工呼吸器「CoVent」の設計を完了した。

 

 新たな設計であるため、実際に使用するには規制当局の承認が必要になる。だが、ダイソン広報は「承認プロセスは迅速に行われる予定で、4月初旬までには使用可能になる予定」と見通している。

 

 ダイソン製人工呼吸器の特徴は、なるべく早く、そして大量に製造できるようにするため、ダイソンの既存のDigital Motorデザインデザインを採用した点と、新型コロナウイルス感染症の患者に、安全でコンスタントな換気を提供するために、同社の空気清浄の製品を使用した点という。

 

 人工呼吸器の本体部分はベッドの手すり部分などに固定できるようになっており、バッテリーで駆動するダイソンのデジタルモーターを駆動して動作する仕組み。


 製造される呼吸器は英国の病院等を統括するNational Health Service(NHS)に納入される予定。米国では先週後半だけで感染者数が倍増して10万人を超え、英国でも土曜日だけで感染者数が200人以上増えて、死者数が1000人の大台を超えた。いずれの国も急増する感染者にベッドや人工呼吸器が足りなくなりつつある。



 ただ、首相が人工呼吸器の専門メーカーを飛び越えてダイソンに直接、開発を依頼したことについて、既存メーカーからは「政府はまずわれわれのような人工呼吸器メーカーに資金を提供すべきだ」と不満の声が出ているという。しかし、不満を言う前に自ら増産供給を宣言しておれば、首相もダイソンに頼むことはなかったと思われる。専門メーカーのプロ意識の欠如も浮き彫りになった形だ。



 米国でもトランプ大統領の要請で、フォードやGM、テスラ、さらにトヨタなどの自動車メーカーが既存の人工呼吸器メーカーと共同で製品製造に乗り出している。英国では在英の7つのF1チームが”Project Pitlane”を立ち上げ、F1の高度技術を活用して新たな人工呼吸器の開発を急いでいるという。

 

 日本でも、感染爆発に至ると、人工呼吸器は完全に不足するのが目に見えている。しかし、わが安倍政権は「外出自粛」の呼びかけや、布マスク2枚の配布等の「お手軽政策」で、その場しのぎの策を弄するばかり。企業も「CSRって、何だったけ」といった様子で、他人事のように立ち尽くしている。経団連も全く役に立たないようだ。

https://japanese.engadget.com/jp-2020-03-29-10-1.html?fbclid=IwAR0NhUNjZrAobwt9sPJGv5P-yOFzOTepQjnTTwQt137LhMWJMZvVxMyo3DM