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トヨタ自動車、新型コロナウイルス感染防止対策で、医療用フェイスシールド(防護マスク)国内でも生産へ。グループ各社では生産現場用マスクを自給自足。一般市場での需給緩和に貢献(RIEF)

2020-04-08 02:51:51

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  トヨタ自動車は、新型コロナウイルスの感染防止と医療現場の支援に取り組むため、医療用フェイスシールド(防護マスク)の生産に乗り出す。すでに同社貞宝工場(愛知県豊田市)で試作の準備を進めており、週500~600個を生産、病院等に提供する。グループ企業でも同マスクの生産の可能性を検討するほか、デンソーやトヨタ紡織などでは社内で従業員用に必要なマスクの自社生産を4月中に始める予定。

 

   (写真は、トヨタが国内でも製造に乗り出すフェースシールド)

 

 今回、国内の医療現場用に製造するフェースシールドは、3Dプリンターを使って製造する。すでに米国や欧州で生産に入っている。また一般のマスク不足に対応するため、デンソーは1日当たり10万枚の自社生産を目標とする。トヨタ紡織も今月上旬から刈谷工場(愛知県刈谷市)で1日当たり1500枚規模を生産する。さらに5月以降は猿投工場(愛知県豊田市)に移管して、1日当たり1万2000枚に増産する計画だ。

 

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 同じくグループ会社のアイシン精機やダイハツ工業、日野自動車等も従業員用のマスクの自社生産を予定している。グループ会社でのマスク生産は今のところ、一般向けに販売する予定はない。従業員用のマスクを自給自足することで、市場からのマスク調達量を低減し、社会でのマスク不足の緩和に間接的に寄与することを期待しているという。

 

 トヨタは米国ではトランプ政権の要請もあって、人工呼吸器の生産支援に取り組んでいる。フェースシールドもテキサス州やインディアナ州などの病院に提供している。人工呼吸器については、日本では政府からの日本自動車工業会(自工会)を通じた要請を受け、自らの生産するよりも、医療機器メーカーによる人工呼吸器等の医療機器の増産に対し、トヨタ生産方式(TPS)のノウハウ活用による工程改善などで、生産性向上に協力することを目指すという。http://rief-jp.org/ct12/100733

 

 すでに、トヨタ自動車を中心にTPS支援チームを結成し、医療機器の大幅な増産などがスムーズに展開するよう、医療機器メーカーを含めた関係者との間で、具体的な対応について調整を始めている。

 

自動車製造の貞宝工場で、フェースシールドを生産へ
自動車製造の貞宝工場で、フェースシールドを生産へ

 

 また感染者数が増大している東京都内を中心として、軽症の感染者を他の医療機関や待機施設、自宅などに移送する際の運転者の感染を抑えるために、車内の前後席を区切る仕組みのタクシー車両「ジャパンタクシー(JPN TAXI)」の活用も手掛ける。

 

   トヨタは、海外ではすでに米国以外でもコロナ対策に取り組んでいる。中国では、中国紅十字社へ医療用品の購入費用を寄付したほか、医療用品(医療従事者用マスク、医療用防護服、医療用帽子、消毒剤等)の寄付等を実施した。欧州やアジアでも、フェイスシールドの生産のほか、ハンズフリーのドア開閉装置の生産、医療従事者向けの車両・レンタカーの提供、医療機関、緊急対策機関への寄付も実施している。

 

 感染の影響軽減のためのこうしたCSR活動は、感染者数の増加の抑制を通じて、グローバルに停滞している経済活動の回復支援にもつながる。コロナ感染の恐れで世界中の自動車市場も低迷している。

 https://global.toyota/jp/newsroom/corporate/32232844.html