HOME |三井E&Sホールディングス、インドネシアでの石炭火力発電再拡張工事の多額損失カバーのため、国内のバイオマス発電事業も売却。売却額43億円。損失額1510億円に”吸い込まれる”(RIEF) |

三井E&Sホールディングス、インドネシアでの石炭火力発電再拡張工事の多額損失カバーのため、国内のバイオマス発電事業も売却。売却額43億円。損失額1510億円に”吸い込まれる”(RIEF)

2020-04-23 22:56:15

mitsuiE&S1キャプチャ

 

  三井E&Sホールディングスは23日、インドネシアで工事を引き受けている住友商事と関西電力主導の超々臨界圧石炭火力発電(USC)再拡張事業で多額の損失を出していることの穴埋めに、国内のバイオマス発電事業を売却、約43億円を捻出すると発表した。三井E&Sはインドネシアの事業で、これまでに累計約1510億円の損失を計上している。泥沼の「石炭火力」に足を取られ、国内の再エネ事業を相次いで手離す羽目に陥っている。

 

 三井E&Sが苦吟している石炭火力発電所事業は、インドネシア・ジャワ島で、住友商事と関西電力が推進する「タンジュン・ジャティB石炭火力発電所」。事業体だけでなく、融資団も国際協力銀行(JBIC)、3メガバンクの「日の丸事業」。三井E&Sは、再拡張事業の土木・建築工事を請け負ったが、2018年7月に、海中に据え付けた配管に複数の破損が見つかった。http://rief-jp.org/new/89713

 しかし、その後、不具合の原因が分からず、最初から工事をやり直すなどで、これまでに3度にわたって累計1510億円の損失を計上している。海中の配管据え付け工事で、気象条件が想定以上に厳しいことや、海底の地盤改良で追加工事が発生するなどで費用が膨大に膨らんだ。このため三井E&Sは財務体質の強化を迫られており、今回、その一助として、国内のバイオマス発電事業の売却に踏み切った。

売却する市原グリーン電力。こちらは順調に発電している
売却する市原グリーン電力。こちらは順調に発電している

 売却するのは、傘下の三井 E&S エンジニアリング(千葉市)が保有する市原グリーン電力(市原市)と持分法適用関連会社の循環資源(東京)の株式持分の2件。市原グリーン電力への出資分70%と、循環資源への30%分を、産業廃棄物大手のタケエイに売却する。三井E&Sは売却後は、両社の株は一切持たない。市原グリーン電力は2004年設立で、住宅廃材の木材チップなどを使って発電している。発電能力は5万kWで首都圏では最大級のバイオマス発電所。年間25万㌧の燃料を使用する。

 契約は23日付で、30日に売却する。三井E&Sは簿価を差し引きし関係会社株式売却益として約23億円を特別利益として計上する予定。タケエイは循環資源の残り70%を保有する「新エネルギー供給株式会社」の共同出資企業の一つで、これまでも市原グリーン電力で燃料とする木屑チップを納入する取引関係にあった。タケエイは、バイオマス発電事業再生可能エネルギー事業に力を入れており、自らの事業拡大につながる。

 三井E&Sはこれまでも、インドネシアの損失対策で、三井不動産と共同で進めてきた太陽光発電事業の持ち分(51%分)売却を決めており、20年3月期決算に約21億円の売却益を計上している。今回のバイオマス発電事業の売却で、手持ちの再エネ事業をほとんど手離すことになる。さらに、千葉工場の造船事業も、来年3月末で撤退することも発表している。

 インドネシアの火力発電工事は、2020年11月が契約納期だが、納期通りに工事を終えることができるかは確実ではない。三井E&Sは、今回のバイオマス発電事業の売却について「海外大型石炭火力発電土木建築工事における 追加損失を受け、純資産が著しく毀損している。自己資本の回復と資金の確保に向けた施策の拡大と早急な実行が必要」と説明している。

https://www.mes.co.jp/press/2020/uploads/20200423.pdf

https://ssl4.eir-parts.net/doc/2151/tdnet/1818795/00.pdf