HOME |米アマゾン、パリ協定目標10年前倒しの「気候誓約(Climate Pledge)」実現に向け、20億㌦(約2140億円)の基金立ち上げ。世界中の低炭素促進のスタートアップ等に投資(RIEF) |

米アマゾン、パリ協定目標10年前倒しの「気候誓約(Climate Pledge)」実現に向け、20億㌦(約2140億円)の基金立ち上げ。世界中の低炭素促進のスタートアップ等に投資(RIEF)

2020-06-24 15:07:50

Amazon003キャプチャ

 

  米アマゾン・ドット・コムは23日、気候変動対策でパリ協定の目標達成を10年前倒しするために昨年宣言した「気候誓約(Climate Pledge)」を促進するため、自ら20億㌦(約2140億円)の「気候誓約基金(CPF)」を設立すると発表した。基金はCO2排出量ネットゼロへの移行を促進する製品・サービスを開発する企業を投資で支援する。

 

 アマゾンは昨年、グローバル・オプティミズムととともに、「気候誓約」を立ち上げた。同宣言にはベライゾンや、レキットベンキーザー、インフォシィなども参加している。同誓約は各国政府で合意した2050年のパリ協定目標を、前倒しして2040年に達成することを目指している。今回のアマゾンの基金はそのための投資を促すための一歩と位置付けている。投資需要が多い場合は増額も検討される。

 

CEOのベレゾ氏
CEOのベレゾ氏

 

 CEOのジェフ・ベレゾ氏は「この基金は、企業のカーボンインパクトを削減し、より持続可能な経営ができるようにするための製品やサービスを提供する先見的な企業やイノベーターへの投資を目指す」としている。投資対象は世界中を対象とし、スタートアップ前の企業から成熟企業まで、企業サイズもそのステージもこだわらない。「ネットゼロカーボンに貢献し、将来世代のために地球を守ることに貢献する潜在力のある企業に投資する」(ベレゾ氏)としている。

 

 想定されるセクターは、CO2排出量の多い輸送・ロジスティック、エネルギーの発電・貯蔵・利用、製造業と資源産業、サーキュラーエコノミー、食品と農業等。アマゾンはこれまでも低炭素技術の開発促進に取り組んできた。同社は発注された商品・サービスの配達時に膨大なCO2を排出する。それを解消するため、電気自動車(EV)開発のRivianへの投資も進めてきた。

 

 RivianのCEO、R.J.Scaringe氏は「アマゾンのわが社への投資と10万台のEV発注によって、アマゾンの宅配ネットワークサービスのカーボンフットプリントは大きく改善した。結果的に、将来の物流サービスでの低炭素化の未来を築いた」と説明している。

 

さらなる気候変動対策を求めてデモをするアマゾン従業員ら(昨年9月)、シアトルで)
さらなる気候変動対策を求めてデモをするアマゾン従業員ら(昨年9月)、シアトルで)

 

 一方で昨年9月には、アマゾン従業員で構成する「Amazon Employees for Climate Justice」が「気候ストライキ」を打ち、ベゼソ氏が提唱する「『2040年の気候誓約』では不十分、2030年までのネットゼロ実現」を求める」との行動を展開する動きも起きている。

 

 今回の基金創設の公表は、グローバル企業へのグローバル誓約促進を求める圧力が高まっていることを踏まえ、同社としては「宣言」の勇ましさを競うだけではなく、宣言を実現するための技術・製品・サービスの開発に、自ら取り組む経営の決意を示したといえる。https://rief-jp.org/ct8/94131

 

 アマゾンはこれまで2030年までに操業で使う電力を100%再エネに切り替える目標を立てていた。今回、その目標も5年前倒しし、2025年までとした。すでにこれまで世界各地で91の再エネ事業を展開しており、総発電量は2900MWに達する。電力供給量は760MWhで米家庭68万世帯の年間消費電力をまかなえる。

 

 また昨年中には、既存の「Right Now Climate Fund」を活用して、米アパラチア山脈での石炭採掘地後の森林再生プロジェクトと、ドイツ・ベルリンでの都市緑化イニシアティブに合計1億㌦を投じるなど、各国で自然再生事業にも取り組んでいる。

 

https://press.aboutamazon.com/news-releases/news-release-details/amazon-announces-2-billion-climate-pledge-fund-invest-companies