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日本工営、独社と共同で、円盤(フライホイール)回転で蓄電するシステム開発。蓄電寿命の長期化、高速充放電が可能に。リチウム電池と組み合わせた「ハイブリッド蓄電システム」として販売へ(RIEF)

2020-08-06 12:59:57

Nihonkoe001キャプチャ

 

 日本工営は、ドイツのエネルギー関連機械メーカーのSTORNETIC(ストルネ ティック)社と共同で、量産型フライホイール蓄電システム「 Flystab」を開発した。蓄電技術はリチウム電池が主流だが、今回の技術は円盤(フライホール)を回転させることで、電力を運動エネルギーとして機械的に蓄電する方式。リチウム電池等に比べ、蓄電寿命が長く、高速での充放電ができるとの利点がある。

 

 (写真は、開発したフライホイール活用の蓄電システムを搭載したコンテナ)

 

 太陽光・風力発電などの再エネ電力が増えることで、電力の需給バランスを安定させるため、蓄電システムの導入がカギになる。現在は、リチウムイオン電池や鉛電池などの化学反応を利用した蓄電池が主流となっている。だが、これらは価格は比較的安価だが、充放電を繰り返すと蓄電寿命が短くなる課題がある。

 

 今回開発したフライホイール蓄電は、円盤(フライホイール)を電力で回転させることで、電力を運動エネルギーとして蓄え(充電)、必要に応じて再び電力に変換(放電)できる機械式の蓄電システムだ。リチウムイオン電池等に比べ、長寿命で充放電が高速に行えるメリットがある。機械式なので、環境負荷も少ない点も特徴とされる。

 

Flystabのコンテナ内部。緑の円筒がフライホイール
Flystabのコンテナ内部。緑の円筒がフライホイール

 

 日本工営とストルネティックは2018年から、フライホイール蓄電の量産化確立を目指して開発を進めてきた。フライホイール蓄電の電力系統への活用は、日本国内ではほとんど例がない。しかし、欧米では周波数調整市場やマイクログリッド等で利用されている。

 

 開発したフライホイール1台当たりの蓄電容量は3.6kWh、出力60kW。コンテナに収納する方式で、格納するフライホイールの台数を増やせば蓄電容量をさらに拡張できる。20フィートコンテナの場合、蓄電デバイスを最大4台収納し、出力約240kW、蓄電容量14kWh。さらに大規模な40フィートコンテナでは最大16台収納、同1000kW、同57kWhになる。各コンテナを複数つなぎ合わせて大規模蓄電システムとすることもできる。

 

 両社は、開発したFlystabと、価格面で有利なリチウムイオン電池などを組み合わせた蓄電システムを「ハイブリッド蓄電システム」として位置づけ、「長寿命・高速放充電」可能なシステムとして、国内外で事業展開していく方針という。

 

https://pdf.irpocket.com/C1954/djAz/htQO/VpzH.pdf