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日本の大手金融機関7社がクラスター爆弾製造企業に投融資(JCBL)

2011-04-07 13:57:14

JCBLでは2011年1月、クラスター爆弾を製造している企業に投融資していると指摘されている国内の金融機関20社に対するアンケート調査を実施しました。これは、昨年実施したアンケートに続くもので、今回は2種類行いました。(未回答は先月、国連の責任投資原則(PRI)に署名したはずの野村アセットマネジメント1社) 調査の1つは、既にクラスター爆弾製造企業への取り組みを実施しているメガバンク3行(みずほ、三井住友、三菱東京UFJ)に対して、その内容を確認するものです。これは、昨年実施したアンケート(内容については2010年4月28日のJCBLニュースを参照)に続くものです。 もう1つは、昨年春にオランダのNGOネットワーク・フランデーレンが発表した世界的調査結果の報告書、『クラスター爆弾への世界の投資:共通した責任』においてクラスター爆弾製造企業への投融資を指摘されたものの、投融資額が少なかったため昨年のアンケート対象から除外した証券会社等17社の投融資の状況を確認するものです。 2010年8月1日にクラスター爆弾の禁止条約が発効し、日本は締約国となっています。クラスター爆弾の製造を巡る投融資については、2010年7月に大和証券が投融資の規制を強化する旨を発表し、メガバンク3行が同様の内規を設けたことが報道されました。また10月には全国銀行協会がクラスター爆弾の製造に係る投融資の禁止を発表しました。 しかし、その他の証券会社等については投融資が確認されていたものの、条約発効後の具体的な取り組みが明らかにされてこなかったことから、この度、現状調査を行う目的でアンケートを実施しました。20社に発送し、19社から回答を得ました(質問・回答は後掲)。アンケート結果の主なポイントは以下の通りです。  ①     クラスター爆弾製造企業への投融資を指摘された金融機関20社のうち、2社が現在は投融資を行っていないことが明らかになりました。他方で、9社がインデックス運用[1]を中心にクラスター爆弾製造企業へ投融資を行っていることが確認されました。その他の8社については投融資の有無が明らかにはされませんでした。 ②     クラスター爆弾製造企業への投融資の方針について、8社がすでに方針があるか今後検討するとした一方で、6社が今後見直しの予定がないと回答しました。 ③     投融資に関する規定の情報公開については、内部規定であることを理由に公開を行わない企業がほとんどであり、5社のみが「投資方針」に関してホームページで公開していることが明らかとなりました。 JCBLは今回の調査結果を踏まえ、国内の金融機関に対して早急に下記の対策を講じるよう求めます。 ①    クラスター爆弾を製造する企業への投融資は、インデックス運用を含めて直ちに禁止すること。クラスター爆弾は、国際法によって生産・使用・譲渡・備蓄といった行為がすべて禁止されている兵器であり、日本政府は締約国になっている。そうした中、同兵器を生産する企業に対して投融資を行うことは許されるべきではない。 ②    上記の理由からも、今後も継続して投融資を行うことは認められない。 ③    金融機関は私企業であっても、公共性を備えていることに疑問の余地はなく、預金者を含む広範なステークホルダーに対する情報公開・説明責任は免れない。投融資の方針についてきちんとホームページやCSRレポートに明記する責任を負っていることを自覚し、直ちに明確な禁止方針を立て、その内容を公表するべきできである。  今回の結果について、金融機関の社会的責任等に詳しい高崎経済大学の水口剛教授は、「回答拒否の1社は論外。回答内容については更なる精査が必要。たとえばクラスター爆弾製造企業への投融資がないのはたまたまなのか、方針があるからなのか。インデックス運用は免罪符になるのか。現時点の日本の金融の常識からすれば踏み込んだ対応もあり、問題意識を共有したという意味で、評価したい。あとは実効性の問題であり、実務的な観点から一層の対話が必要だ」とコメントしています。  以下、アンケート内容および結果 <質問内容> ■メガバンク(みずほ銀行、三井住友銀行、三菱東京UFJ銀行宛) ・質問1: 7月末に御行はクラスター爆弾の製造を目的とした資金調達への投融資を禁じる内部通達を行ったと毎日新聞で報道されました。この投融資の禁止について、具体的にどのような対策をとられたのかお教えください。 ・質問2: 今後、その内容をホームページ等で公開する予定はありますか。公開しないのであれば、その理由をお教えください。 ・質問3: 今後、クラスター爆弾を製造する企業自体への投融資を中止する予定はありますか。中止しない場合、その理由をお教えください。 ■上記3行以外でクラスター爆弾製造企業への投融資が確認された企業宛 ・質問1: クラスター爆弾製造企業(部品も含む)に投融資していますか? ・質問2: クラスター爆弾禁止条約(通称オスロ条約)が2010年8月1日に発効し、2009年7月に同条約を批准している日本は締約国となりました。御社では、今後クラスター爆弾製造企業への投融資に関し方針を見直す予定はありますか? ・質問3: 御社では、企業に対する投融資を行なう際の規定がありますか。ある場合、それを公開していますか。公開していない場合、理由をお教えください。 <回答済みの機関(順不同)> みずほ銀行 / 三井住友銀行 / 三菱東京UFJ銀行 / 住信アセットマネジメント / 中央三井アセットマネジメント株式会社 / DIAMアセットマネジメント / ニッセイアセットマネジメント株式会社 / 三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社 / 日興アセットマネジメント株式会社 / T&Dアセットマネジメント株式会社 / 日本生命保険相互株式会社 / みずほ投信投資顧問 / 三井住友アセットマネジメント株式会社 / 損保ジャパン日本興亜アセットマネジメント株式会社 / 住友生命保険相互会社 / 住友信託銀行 / 三菱UFJ投信株式会社 / 明治安田アセットマネジメント株式会社 / MU投資顧問株式会社 <未回答の機関> 野村アセットマネジメント <回答内容> 銀行の回答はこちらから  アンケート回答集計(メガバンク).xls 銀行以外の回答はこちらから アンケート回答集計(その他の金融機関).xls ※JCBLでは、「私のお金、私の責任」キャンペーンとして、クラスター爆弾を製造している企業に対する投資を禁止するよう働きかける活動をしています。これは、世界17カ国で展開されている「StopExplosive Investment (爆発する投資をやめよう)」の活動の一部です。

[1]インデックス運用とは、個別銘柄を分析した投資ではなく、日経平均株価や東証株価指数(TOPIX)などの指数(インデックス)算定に採用されている株を、一度に、少なくとも100銘柄以上買い込み、平均株価や株価指数に連動するように運用する投資方法のことをいう。(http://www.kabukun.net/modules/xwords/entry/192/)