日本郵船など、燃料電池(FC)搭載の水素燃料で運航する「ゼロエミッション船」、2024年に実証運航へ(RIEF)
2020-09-02 13:53:52
日本郵船などは1日、船舶運航時のCO2排出ゼロを実現するため、高出力の燃料電池(FC)を搭載し、水素燃料で運航する「ゼロエミッション船」の実証運航を2024年に開始すると発表した。FCを船舶に本格的に採用するのは日本では初めて。
今回の取り組みは、日本郵船のほか、東芝エネルギーシステムズ、川崎重工業、海事協会、ENEOSの5社が、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の公募事業として実施する。

実証事業では、日本郵船が船の設計、東芝エネルギーシステムズが船舶用FCモジュールの開発、川崎重工業が船内水素燃料供給システムとエネルギー管理システムの開発、ENEOSが船への水素供給、日本海事協会が安全性評価を担当する。
開発する船舶は中型観光船(150㌧クラス)で、旅客定員100人程度の高出力FC搭載船船舶とする。を2021年から設計に着手し、23年から建造・製作、24年には実証運航に入る予定。実証期間は25年2月までとしている。
今回の実証実験を踏まえて、2030年メドに500㌧未満の内航貨物船等での実用化を視野に入れている。船舶からの温室効果ガスの削減については、2018年に、国際海事機関(IMO)が国際海運分野からのGHG 排出量を2050年までに半減させ、今世紀中の早期にゼロとする目標を掲げている。
日本でも、政府の「水素・燃料電池技術開発戦略」で、水素社会実現に向けた産学官のアクションプランとして乗用車以外のFCシステムの活用が課題として挙げられている。国内ではすでに小型FC船舶(20㌧未満)が開発されているが、さらに高出力の中・大型FC搭載船舶の普及・展開が求められている。