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米GM、物流システムの電動化に照準を合わせた新ブランド「ブライト・ドロップ」戦略公表。「全車種でEV」目指す。今年末にEV商用車投入(RIEF)

2021-01-13 17:59:12

EV600キャプチャ

 

  米大手自動車のゼネラル・モーターズ(GM)は12日、電気自動車(EV)を全車種、全サービスに導入する方針を打ち出し、そのための新ブランド「ブライト・ドロップ(Bright Drop)」の展開を明らかにした。新戦略では物流市場の電動化に焦点を合わせ、今年初めにも工場搬送用の電動パレット、年末には商用EVを発売する。CEOのメアリー・バーラ氏も同日開いた世界最大のデジタル技術見本市「CES」でEV戦略の全面展開を宣言した。

 

 「ブライト・ドロップ」戦略は、車だけでなく、ソフトウエア、販売サービス等も含め、総合的にEV化を展開するのがコンセプト。コスト低減、生産性上昇、労働者の安全面の確保、サステナビリティ課題の全面的支援を最適解にすることを目指す。

 

   今年初めには、工場等での搬送用の電動パレットEP1を発売するほか、年後半には、新開発の車載電池のEV商用車(電動バン:EV600)を発売する。すでに物流大手の米フェデックスに500台の納入が決まっている。22年から他の物流企業や通販企業にも点配する計画だ。

 

工場等の物流システム効率化に活用される電動パレット
工場等の物流システム効率化に活用される電動パレット

 

 CEOのバーラ氏は「GEは、顧客のために新たなワンストップ・ソリューションを提供するとともに、EV化での我々のこれまでの経験、応用、移動体通信のテレマティーク技術、配送マネジメント等を構築していく」と強調した。

 

 搬送用パレットのEP1についても、フェデックスと連携して開発している。これまでのパイロット事業では従来型のパレットに比べ、効率性、労働者の安全性とも、一日当たり約25%向上したという。今四半期にはEV600の実証実験を、より大規模な都市部で実施し、年末での実用化を目指すとしている。

 

 GMは20年11月に公表した新たな経営計画で、25年末までにグローバルで30車種のEVを投入し、EVと自動運転技術に270億㌦(約2兆8000億円)を投資する方針を打ち出している。全社的な設備投資額や開発人員の半分以上をこの2分野に充当する。ブライト・ドロップはその中核の戦略になる。

 

 21年末までに販売するEV商用車には、新開発の車載電池を採用する。韓国のLG化学と提携して開発中。20年代半ばまでに現行比、6割のコスト低減と2倍のエネルギー密度の向上を目指す、としている。開発した車載電池はホンダに供給するなどしてパートナーを増やし、さらなるコストダウンにつなげる計画という。

 

 GMはこれまで、地球温暖化に懐疑的なトランプ政権の下で、ガソリン多消費型のピックアップトラックなどの売れ筋の大型車に注力してきた。その結果、米環境保護局(EPA)によると、米国で販売した19年モデルの全車種平均のCO2排出量では、GMは欧米フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)に次いでワースト2位となっている。

 

 しかし、バイデン政権の発足で温暖化規制の再強化は避けられない。このため、今回のブライト・ドロップ戦略を皮切りに、EV化シフトを明確にし、主力市場である北米と中国において、ライバルのテスラ等に伍していくとしている。バーラ氏も「北米のEV市場でテスラを抜く」と述べている。

 

https://media.gm.com/media/us/en/gm/news.detail.html/content/Pages/news/us/en/2021/jan/ces/0112-brightdrop.html