HOME10.電力・エネルギー |「気候変動イニシアティブ(JCI)」賛同の主要92社が「2030年度の再生可能エネルギー電力目標を40~50%に」と政府に要請。国のエネルギー政策の抜本転換を求める(RIEF) |

「気候変動イニシアティブ(JCI)」賛同の主要92社が「2030年度の再生可能エネルギー電力目標を40~50%に」と政府に要請。国のエネルギー政策の抜本転換を求める(RIEF)

2021-01-18 17:39:01

JCI001キャプチャ

 

 民間企業で組織する気候変動イニシアティブ(JCI)の参加企業のうち、TCFDやRE100等にコミットしている92社は18日、政府が今年に予定するエネルギー基本計画の改定において、2030 年度の再生可能エネルギー電力目標を 40~50%とすることを求める見解をまとめた。現状の22~24%をほぼ倍に引き上げる内容。政府の対応が注目される。

 

 菅政権は昨年10月の所信表明で、「2050年温室効果ガス排出量ネットゼロ」を宣言した。そうした政策実現のカギとなるのが、今年改定するエネルギー基本計画での電源構成に占める再エネ発電の比率をどこまで引き上げるかという点だ。経済産業省は昨年末に「グリーン成長戦略」を示したが、その中で、再エネについては(50年時点で)約50~60%とする「参考値」を示した。

 

 50年時点で再エネ5割程度では、経済的に合理性があり、社会にも受け入れられる「ネットゼロ社会」の実現はほぼ不可能ともいえる。しかも、経産省の「参考値」の根拠として示した米英の目標値が「誤っている」ことが明らかになるなど、エネルギー基本計画の策定を前にして経産省の迷走ぶりが目につく。

 

 今回のJCIがとりまとめた声明は、「世界の取り組みを日本がリードするには、もっと意欲的な水準への引き上げが必要。高い目標が定まれば、再エネ導入を加速させ、日本の企業は脱炭素化の進む世界のビジネスの中でより大きな役割を果たせる」と決意を示している。

 

 声明への賛同産業は、電機、IT、自動車、航空、海運、小売り、食品、住宅・建設、製薬、製鉄、化学、ガラス、保険・金融など広範な分野に及び、それぞれの産業で日本を代表する大手企業が加わっている。

 

 金融機関では、日本生命、第一生命、SOMPOホールディングス、MS&ADインシュアランスグループホールディングス、三井住友トラスト・ホールディングス、ニッセイアセットマネジメント、富国生命投資顧問、信金中央金庫、SOMPOアセットマネジメント、野村不動産投資顧問の10社。3メガバンクと東京海上ホールディングス、野村證券、大和証券等は現時点では参加していない。

 

 日本だけでなく、間もなく発足するバイデン米政権を含め、すでに120か国以上が「2050年ネットゼロ(カーボンニュートラル)」を温暖化対策の目標に掲げている。その目標が実際に実現するかどうかを見極めるには、エネルギー効率化とともに、再エネ導入の現実的な目標の設定と、それを実現する政策の推進が欠かせない。

 

92社が呼びかけ「2030年度の再生可能エネルギー電力目標を40~50%に」 | 気候変動イニシアティブ – Japan Climate Initiative – JCI