HOME |2020年のグローバルなCO2排出量、前年比5.8%減。第二次大戦後最大。コロナ禍の影響。減少量は日本の年間排出量の約1.6倍。昨12月以降増大に転じる。国際エネルギー機関(IEA)(RIEF) |

2020年のグローバルなCO2排出量、前年比5.8%減。第二次大戦後最大。コロナ禍の影響。減少量は日本の年間排出量の約1.6倍。昨12月以降増大に転じる。国際エネルギー機関(IEA)(RIEF)

2021-03-02 23:30:18

IEA004キャプチャ

 

 国際エネルギー機関(IEA)は2日、2020年の二酸化炭素(CO2、エネルギー起源)の排出量が前年から5.8%減ったと発表した。減少幅は第2次世界大戦後で最大となった。減少量は前年比で20億㌧で、日本の年間排出量の約1.6倍が抑制された形だ。20年の世界の排出量全体は315億㌧。新型コロナウイルス感染拡大の影響で経済活動が停滞し、航空機等の運輸部門からの排出も大きく減った。ただ、すでに20年12月には排出量は前年比増加に転じており、コロナ禍克服とともに、世界の排出量が急回復する可能性があると懸念している。

 

 世界的な経済活動の低迷により、2020年の第一次エネルギー需要は前年比ほぼ4%減った。化石燃料への需要は大きく低下した。特に石油は8.6%減となり、石炭は4%減だった。石油需要の8%台の減少は過去例にない落ち込みで、CO2排出減の半分以上の11億㌧を占めた。特に、自動車の道路走行の減少が石油需要全体の半分を占め、航空機需要の減少分が約35%だった。

 

   電力部門でもCO2排出量は3.3%減った。4億5000万㌧の減少で過去最大。全体の電力需要はコロナ禍で減少したが、太陽光発電や風力発電等の再生可能エネルギー分野は拡大し、電力部門全体のCO2削減に最も貢献した。グローバルな電力部門での再エネの割合は、前年の27%から29%へと拡大、過去最大の増加となった。再エネ発電は過去10年、毎年電力部門の排出量削減に平均10%の貢献をしている。

国別のCO2排出量の増減
国別のCO2排出量の増減

 

 コロナ禍の影響は地域ごとに異なるが、全般的に先進国経済の年間CO2排出量はもっとも急速に低下し、平均でほぼ10%の減少となった。米欧もほぼ10%減だった。これに対して新興国と途上国経済の減少率はそれぞれ4%だった。大半の国の減少率は5~10%ポイントの減少となった。

 

 排出量の多い国でもっとも減少率が低かったのはブラジルで、最大の排出国である中国は、コロナが最も早く発症し、回復も早かったことから、年間の排出量はここ数年の平均(2015~2019年)より0.8%増と主要国で唯一、増加した。日本は6.5%の減少。

 

 しかし、すでに2020年12月には、主要な排出国の排出量は減少から上昇に転じている。コロナ禍克服をいち早く実践できた中国の12月のCO2排出量は前年同月比7%増。インドも経済環境の改善とコロナ対策の緩和策によって昨年9月には前年比プラスの排出量となっている。年間10%の落ち込みを示した米国では、特に4月、5月の減少が大きかったが、その後リバウンドし、12月の排出量はほぼ前年並みに戻った。天然ガス価格の上昇と寒波の影響で石炭利用が増加した。

 

 IEAは、「2020年のCO2削減量は歴史的に最大の減少を記録したものの、すでに多くの国々でエネルギー需要とCO2排出量の急速な回復がみられており、2021年には排出量が増大するリスクが大きいと指摘している。今年あるいはそれ以降のエネルギー需要とCO2排出量がどうなるかは、各国政府がコロナ禍回復後の経済政策においてクリーンエネルギーへの移行にどれくらい力点を置くかにかかっている」と指摘している。

 

https://www.iea.org/articles/global-energy-review-co2-emissions-in-2020