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Moody's、気候リスクとオポチュニティを評価する新たなサービス「Climate Solution」提供。気候調整デフォルト確率(CAPD)等も推計。ESGスコア方式より高度化目指す(RIEF)

2021-03-12 22:45:37

Moody'sキャプチャ

 

 米格付機関のMoody’sは、金融機関や投資家、企業向けに、気候リスクと新たなビジネス機会を評価する新サービス「Climate Solutions」を開始した。 気候変動が及ぼす物理リスクと移行リスク等をMoody’sのリスク手法を活用し、上場・非上場企業の気候リスク調整済みデフォルト確率(PD)の推計などを提供する。

 

 新たなClimate Solutionsサービスは、Moody’sが傘下に収めた気候リスク分析の専門機関「Four Twenty Seven」とESGデータ評価機関のEiris Vegeoの両機関が中心になって開発した。気候リスク・オポチュニティを把握したい金融機関、企業向けに新たなリスク分析ツールを提供する。

 

 これまでの企業向けのESGサービスでは、ESG評価項目への適合性をスコア化したり、外部の自主的評価基準への適合性を評価するなどの手法が中心だった。今回のMoody’sの手法は、企業および企業が立地する地域、グローバルな気候データ等を、Moody’sの経済・金融リスクモデルに組み込み、カスタマイズして分析する。

 

 分析の土台となる気候変動の移行リスクは、約5000の企業を対象として、異なるタイプの化石燃料資源と電源技術別のオンデマンド型スコアリングに基づくリスクを分析する。物理リスクについても、グローバルに250万の工場等の設備を所有する約5000社の上場企業と、米国内で1000万の商業不動産が被る気候変動による物理リスクを、フォワードルッキングなデータ分析によって評価する。

 

 気候調整デフォルト確率については、Moody’sのExpected Default Frequency (EDF) modelを活用する。上場企業、非上場企業が受ける移行リスク、物理リスクが信用リスクに及ぼす影響のデータを、整合的で、透明で、企業特性を評価した形で推計するとしている。気候変動による移行リスク、物理リスクのインパクトが企業経営そのものを左右する程度を把握できる。

 

 またマクロ経済分析は、Moody’s Analytics Global Macroeconomic Modelと、中央銀行等の金融監督当局で構成する「Network for Greening the Financial System(NGFS)」をベースとし、80年単位での推計とそれに対するストレステスト、リスクマネジメントを含めて分析する。

 

 またTCFDレポーティングと保険会社のリスクとソルベンシーの自己評価制度である Own Risk and Solvency Assessment (ORSA)に適合する、保険と年金の資産・負債計画の立案を支援するClimate Pathway Scenariosも提示できるとしている。

 

https://esg.moodys.io/climate-solutions