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中部電力、公取委による電力販売談合疑惑の指摘を受けて、今月予定のグリーンボンド発行を見送り。投資家から「ESGを語る資格なし」と、そっぽを向かれるリスクを懸念か(RIEF)

2021-04-14 18:09:43

Chubuキャプチャ

 

 公正取引委員会の立ち入り検査を受けた中部電力は14日、今月発行の予定だった同社初のグリーンボンドの発行を見送る判断をした。「ESG経営を深化させ、SDGsの課題解決へ貢献する」とした発行理由が、「談合疑惑」で怪しくなり、投資家から敬遠されるリスクが高まったためとみられる。

 

 中部電力は先月23日に、初のグリーンボンド発行を宣言した。脱炭素社会実現に向けた取り組みの推進や資金調達の多様化の観点から、調達資金の使途を再生可能エネルギーの開発など、環境改善プロジェクトに限定したグリーンボンドを発行するとしていた。

 

 発行額は100億円、期間10年、主幹事はSMBC日興証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、みずほ証券。グリーン性については、DNVビジネス・アシュアランス・ジャパンから第三者評価で国際資本市場協会(ICMA)のグリーンボンド原則(GBP)等への適合を付与していた。

 

 調達資金は、すべて再生可能エネルギー事業に充当する方針としていた。同社は2030年頃に再エネ電力だけで200万kW以上開発することを目標としている。しかし、今回の公取委による摘発は、電力販売事業で他の電力会社と顧客囲い込みをしていた疑いによるものであり、再エネ電力事業にも投資家から疑念を持たれる恐れが出てきた。

 

 談合は社会的な悪であり、ガバナンス自体の欠如でもある。グリーンボンドの発行体として適格性を欠くと指摘されても言い逃れはできないところだ。投資家が敬遠して、発行債券が「売れ残る」事態になれば、それこそ同社の信用問題にかかわってくる。こうした状況を判断して、発行見送りの判断をしたものとみられる。

 

 公取委の調査結果が明るみに出て、対応が示されたとしても、当分は同社がESGを語るのは憚れる状況が続きそうだ。

https://www.chuden.co.jp/publicity/press/__icsFiles/afieldfile/2021/03/22/0323a.pdf