ESGデータプロバイダーArabesque、持続可能な開発のための世界経済人会議(WBCSD)の「The Reporting Exchange」を取得。ESGデータのプラットフォームとして強化(RIEF)
2021-05-10 13:01:47
ESGデータプロバイダーのArabesque(ドイツ)は、「持続可能な開発のための世界経済人会議(WBCSD)」のオープンソースの企業情報データベース「The Reporting Exchange」を取得した。取得額は公表していない。同データベースはArabesqueグループのArabesque S-Rayによって、高度化して引き続き無料で提供される。
WBCSDは、Google、Shell、Total、Unilever等の世界のリーダー企業が200社以上参加するグローバル組織。国連の持続可能な開発目標(SDGs)等を推進している。Arabesqueもメンバー。「Exchange」は、ESG情報レポーティングの普及のために、2017年に、WBCSDと気候情報開示基準審議会(CDSB)、エコデスクが共同開発した。
企業が自社のESG情報開示を実施する際の必要項目について、信頼できる比較データや分析の元になるデータ等に、無料でアクセスできる。「ESGレポーティングのためのデータベース」と位置付けられている。
新たな「Exchange」の提供元(host)になるArabesqueのS-Rayは、データ収集と収集したデータを分析する定量データツールを多くの企業等に提供している。世界の上場企業8000社超(日本企業は約600社:2021年1月現在)のサステナビリティに関係する300以上の項目を、毎日スコアリングし、定量モデルで分析する手法。「Exchange」のデータも分析対象に加える。
「Exchange」は従来通りに、無料で企業に提供されるが、Aeabesqueの新たな技術やAI等の分析によって、データ利用の高度化を図り、グローバル企業の利用の高度化への対応を目指す。
Arabesque S-RayのCEOのDaniel Klier氏は「グローバルベースでESG関連の規制強化が進んでいる。企業や投資家にとって、技術を活用した、膨大な定量データソリューションへの需要が増大している。WBCSDとの提携で『 Exchage』を引き継ぎ、同プラットフォームを、すべての市場のステークホルダーにとっての主要なESGデータリソースとして高めていきたい」と述べている。
WBCSDのディレクターのAndrew Beanland氏は「『Exchange』は企業にとっても、投資家にとっても、さらには政策当局者にとっても、ESG情報開示の複雑さを理解し、導いていく重要な役割を果たすものだ。Arabesqueとの協力によって、同プラットフォームをさらに利用し易くできることになると確信している」と強調している。
ESG情報については、データプロバイダー、分析企業、インデックス提供企業等がそれぞれ独自の手法でのデータ収集と分析を提供してきたが、データの比較可能性や信頼性の向上を求める利用者のニーズの高まりから、共通プラットフォームの需要が増大している。Arabesqueはそうしたプラットフォーマーとしての存在感を高めることを目指している。
https://www.wbcsd.org/Programs/Redefining-Value/External-Disclosure/The-Reporting-Exchange