モスクワ市が、ロシアの自治体初のグリーンボンドを今週中に発行へ。市内のディーゼルバスを電気バスに切り替え等に充当(RIEF)
2021-05-26 00:20:06
ロシアのモスクワ市が、初のグリーンボンドを今週中に発行する。発行額は700億ルーブル(約9億5000万㌦=約1000億円)。資金使途は市内のディーゼルバスを電気バスに置き換えるほか、地下鉄の鉄道網の拡張にも充当するとしている。モスクワの街のグリーン化推進に資することになる。
(写真は、モスクワ市内を走る電気バス。すでにバスの電動化事業は継続されている)
報道によると、今月27日に発行を予定している。モスクワ市は、すでに4月後半にグリーンボンドフレームワークを設定している。ボンドは期間7年の予定。
同市の経済政策担当の副市長のウラジミール・エフィモフ(Vladimir Efimov)氏は「モスクワ市には、グリーン投資対象の事業が2000億~3000億ルーブル規模である。それらをすべてグリーンボンドでファイナンスするかどうかは、今回の最初のグリーンボンドを市場でどう評価するかにかかっている」と説明している。
モスクワ市は、市内のディーゼルやガソリン燃料のバスを2030年までにグリーン化する計画を立て、すでに推進している。市内のバスや鉄道を運営するMosgortransは現在、電気バスを600台保有しているが、これを年末までに400台追加し、さらに2022年には420台増やす計画という。2023年までに合計2000台にまで増やす。
これまでロシアでのグリーンボンド発行は、ロシア国営のロシア鉄道が2019年以来、5回にわたってグリーンボンドを発行しているという。総額11億6000万㌦。今回のモスクワ市の発行については、他の自治体も強い関心を示しており、モスクワ市の発行が成功すると、他の自治体の発行が増大する可能性もある。市場関係者の間では、場合によると、いずれロシア政府がグリーンボンド国債を発行する時期もやってくるのでは、との見方もある。
エフィモフ氏は今回のグリーンボンド発行は、市にとって一種のテストケースという。「手応えが良ければ、将来はサステナビリティ・リンク・ボンドの発行も検討対象。ただし、ソーシャルボンドは想定していない」と述べている。ソーシャルボンドだと、人権問題等への対応が問われるからかもしれない。