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NTT。今月中に約3000億円規模のグリーンボンド発行へ。国内最大規模。2040年度カーボンニュートラル達成に向け、再エネ投資等に充当(RIEF)

2021-10-06 01:02:10

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 NTTは5日、発行額が約3000億円の大型のグリーンボンドを10月中に発行すると発表した。同社グループは、先に2040年度までに温室効果ガス(GHG)排出量を実質ゼロ(カーボンニュートラル)とする目標を公表しており、目標達成のための投資資金を調達する。日本企業のESG債の発行額としては、トヨタ自動車が今年3月に総額5000億円規模のサステナビリティボンドを発行している。

 

 NTTのカーボンニュートラル戦略では、2040年度までに実質ゼロを達成するため、30年度までの10年で再生可能エネルギーの発電設備などに約4500億円を投じるほか、高速通信規格「5G」の関連投資等も目指している。今回のグリーンボンドの資金使途も、5G関連投資のほか、FITH(Fiber to the Home)、光技術を使った次世代新通信ネットワーク(IOWN )構想に向けた研究開発費、再エネ事業(風力・太陽光)等をあげている。https://rief-jp.org/ct8/118603?ctid=72

 

 NTTファイナンスによると、グリーンボンドは償還期限が3年、5年、10年の3本を同時発行し、総発行額は約3000億円の見通し。発行金利など詳細は近く決める。主幹事は野村證券、みずほ証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、SMBC日興証券、大和証券の各金融機関。野村証券がグリーンボンドストラクチャリングエージェントを務める。セカンドオピニオンはSustainalyticsがICMAのグリーンボンド原則(GBP)への適合を付与した。

 

 NTTは9月28日に公表した「新たな環境エネルギービジョン~NTT Green Innovation toward 2040」により、2030年度までに温室効果ガス排出量の80%削減(モバイル、データセンターはカーボンニュートラル)、2040年度までにカーボンニュートラルを実現する目標を掲げた。国の2050年ネットゼロ目標より10年早い達成を目指す。

 

 NTTファイナンスは昨年6月に、発行額400億円のグリーンボンドを初めて発行しており、今回が二度目の発行となる。前回は、グループのエヌ・ティ・ティ都市開発が手掛ける品川と名古屋のグリーンビルディング事業への資金に充当した。https://rief-jp.org/ct4/103625

 

 今回の調達資金の使途は主に、太陽光発電、風力発電などの再エネ事業への投資に振り向け、自社グループで再エネ発電の供給網を整備する。30年度末までに、自社グループの利用電力の再エネ比率を80%とする目標を示しており、その半分を自前の再エネ設備で賄う。

 

 ESG債としてはトヨタのサステナビリティボンドより一回り小さいが、グリーンボンドとしては国内では最大規模。ただ、海外市場では英国が先月後半に発行した100億ポンドのグリーンボンド国債(約1兆5000億円)はNTTの発行想定額の5倍の規模。欧州主要国のグリーンボンド国債は数千億円規模と発行規模が大きい。民間企業でも、中国の交通銀行(BoCm)が44億㌦(約4800億円)、フランスの電力会社のGDFスエズが34億㌦(約3700億円)等の発行事例がある。

 

 大型のESG債発行の特徴は、債券の流動性を高めることから、長期保有の機関投資家だけでなく、投資家層の幅を広めることができる。発行体の企業にとっては、応募投資家が増えれば発行コストの低下を見込める。市場関係者の話では、NTTは5年債グリーンボンドの利率を0.1~0.15%程度にしたい考えという。同社が20年12月に発行した通常の5年債利率は0.18%だった。

https://www.ntt-finance.co.jp/news/211005.html

https://www.ntt-finance.co.jp/news/pdf/20211005_3.pdf