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環境金融研究機構(RIEF)の「適応ファイナンス・ガイダンス案」。コンサルテーション期間は今月15日まで。気候適応事業を本気で実践するための提案です。ご意見をお寄せください(RIEF)

2023-09-04 16:59:50

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 一般社団法人環境金融研究機構(RIEF)は、気候変動による適応(アダプテーション)事業への民間ファイナンスのための「アダプテーションファイナンス・ガイダンス案」を作成しました。気候変動の激化で、この夏も世界中で、熱波、気温上昇、干害、森林火災等の異常気象現象が多発しています。気候変動の物理的リスクの顕在化に対して、適応事業の展開が急務です。しかし、再エネ等の緩和事業とは異なり、現行の適応事業は公的資金依存が中心で、民間資金の導入は限られています。その結果、適応リスクの顕在化を目前にしながら、資金不足で対策が遅れるケースが少なくありません。そこでRIEFでは民間資金を適応市場に導入するためのガイダンス案を作成しました。

 

 ガイダンス案の作成は、研究者や実務の専門家等で構成する「アダプテーションファイナンス研究会」を立ち上げ、ほぼ2年がかりでとりまとめました。ガイダンスの対象は日本国内だけでなく、グローバル市場でのアダプテーションファイナンスの拡大にも資するものとしています。同案に対するコメントを広く募集しています。コメントは9月15日までに次のメールアドレスにお送りください。<green@rief-jp.org>

 

 ガイダンス案の概要は、冒頭の要旨に記載してある通り、気候変動による適応事業に対して、民間のファイナンスを活用するために、3つのステップからなる適応ファイナンスのフレームワークの設定を提案しています。

 

 ステップの1つ目は、適応資金の資金使途先となる適応事業の「事業タクソノミー」を整備し、適応資金の資金使途先を明確化することです。2つ目は、対象となる適応事業から想定される将来の「期待キャッシュフロー」を推計するために用いる「手法」を示す「手法のタクソノミー」を整備する点です。

 

 そして3つ目のステップは、第2ステップで推計した「期待キャッシュフロー」を、金融機関・投資家に「見える化」するため、適応ファイナンスの発行体(利用者)が、想定した期待キャッシュフローにリンクし、その価値を現在価値化するための「プロキシ(代理)・キャッシュフロー」を創出することを提案しています。同キャッシュフローの創出者は公的機関(国、自治体等)のほか、公的機関との連携者や非営利機関等が望ましいですが、民間事業者主導の取り組みも可能と考えています。

 

 ガイダンス案では、こうしたフレームワークを官民連携の取り組みを、「新たなブレンデッドファイナンス・スキーム」と位置付けています。

 

<RIEF:適応ファイナンス研究会>

∙ 明日香壽川(東北大学東北アジア研究センター/環境科学研究科教授)

∙ 越智信仁(関東学院大学経営学部教授)

∙ 小林靖周(東京海上日動火災保険・業務企画部調査企画グループ部長)

∙ 榊原恵(EY新日本有限責任監査法人CCaSS事業部マネージャー)

∙ 新美陽大(日本総合研究所創発戦略センター、スペシャリスト)

∙ 堀口宗尚(京都大学経営管理大学院特命教授)

∙ 藤井良広(環境金融研究機構代表理事)=主査

∙ 村井秀樹(日本大学商学部教授)

∙ 山本利明(元大阪電気通信大学教授)

 

https://rief-jp.org/wp-content/uploads/4a93964b6980bc427233cee08ac4f378.pdf

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