三菱HCキャピタル（MHC）。デンマークの再エネ・グリーン水素展開の「ヨーロピアン・エナジー（EE）」社と戦略的パートナーシップ。約7億ユーロ（約1100億円）で20％株取得（RIEF）
2024-01-19 23:44:25
三菱HCキャピタル（MHC）は19日、再生可能エネルギーやグリーン水素等を手がけるデンマーク拠点の「ヨーロピアンエナジー（European Energy A/S）」社と戦略的パートナーシップを結び、同社に約7億ユーロ（約1100億円）を出資、同社の株式の20%を取得すると発表した。EE社は、欧州を中心に世界28カ国で再エネ事業等を展開し、累計3GW以上の再エネの開発実績を持つほか、開発・建設中の事業60GW以上を抱える。MHCでは、環境エネルギー事業を中長期的な成長戦略の一つに据えており、今回のEE社との連携により、欧州市場での再エネ事業を強化する。
MHCは2021年4月に、三菱UFJリースと日立キャピタルが統合して発足した。 統合当初に掲げた2年間の経営統合プロセスを経て、2023年度に統合後、初の中期経営計画を始動させている。同計画では、グローバルベースでの再エネ事業、次世代エネルギー事業開発の加速、展開による環境エネルギー事業の強化に力を入れていく方針だ。
MHCは出資に伴い、EE社へ自社の社員も派遣し、EE社の事業とのシナジーを深めることを目指す。EE社が長年の再エネ投資で培った風況予測に基づく立地の選定等のノウハウのほか、風車のブレードや太陽光パネルの修繕等のメインテナンス事業等の知見の取得も視野に入れているという。
EE社の株取得は、EU規制当局の認可を得ることを前提とし、3〜4月に出資する。EEが実施する第三者割当増資をMHCがデンマーク保有する100％子会社のMHC Energy Europe ApSが引き受け、MHCの持ち分法適用会社にする。MHCの連結決算には2025年3月期から反映する。
MHCはこれまでも再エネ事業に力を入れており、内外で展開する再エネ事業は現在、1.3GW（2023年3月末時点）を抱える。一方、EE社はMHCの倍以上の3GWの再エネ発電量を抱えるうえに、現在、開発・建設中の案件が60GW以上ある。さらに再エネ発電だけにとどまらず、再エネ電力を活用してグリーン水素事業やe-メタノール製造等の次世代エネルギー事業（Power to X）分野でも積極的に事業展開を推進し、グローバルな先駆的プレーヤーと評価されている。
MHCは「今回の出資に基づく、EE社との戦略的パートナーシップにより、両社が有する技術力およびノウハウなどを活用し、グローバル市場での再エネ事業、次世代エネルギー事業開発のさらなる加速、展開を図ることで、環境エネルギー事業の強化、ならびに脱太陽光や陸上風力発電所の開発に向け部品メーカーや立地の選び方などの知見を取り込む。MHCが国内で運用・新規開発する再生エネ事業にも生かし、利益率の向上につなげる」と提携の 期待効果を説明している。
EE社の創設者でCEOのKnud Erik Andersen氏は「三MHCを当社の株主グループの一員に迎えることができ、大変嬉しい。MHCの戦略的焦点は、気候変動との闘いでのEEの影響力拡大という、われわれの戦略と目標に完全に合致する。今回の資本参加により、当社の株主資本は3倍以上に増加し、事業を加速させる機会が増える」と歓迎している。
MHCの環境・エネルギー部門担当の常務執行役員の成瀬拓司氏は「この度、EE社と戦略的パートナーシップを締結できることを大変嬉しく思う。MHCは、EE社に大きな成長の可能性とシナジー創出の余地を見出している。われわれの専門性と強みを生かし、EE社とともに価値創造と脱炭素社会の実現に取り組んでいく」とコメントしている。
https://www.mitsubishi-hc-capital.com/investors/library/pressrelease/pdf/2024011901.pdf
Research Institute for Environmental Finance