日本ガイシ、リコー、大和エナジー・インフラ。シェアリング機能付きハイブリッド蓄電所の実証化で連携。2025年1月に岩手銀行の協力で実証プラントを稼働へ(RIEF)
2024-06-14 15:25:15

(上図は、実証化を目指す「ハイブリッド蓄電所」の概念)
日本ガイシ、リコー、大和エナジー・インフラ(大和証券グループ)の3社は、電力の供給側だけでなく、需要側のサイトへの移設利用も可能なシェアリング機能付きのハイブリッド蓄電所(StorageHub)の実用化のためのビジネスモデルを開発すると発表した。蓄電所はNAS電池と、リチウム電池を併用し、両電池を最適制御することで投資効率を高める。岩手銀行の協力を得て太陽光発電の電力を蓄電する実証プラントを2025年1月に稼働させる予定。
現在のわが国での蓄電池普及は、政府の支援が十分でないことから遅れており、再エネ電力の普及拡大のネックにもなっている。しかし、電力広域的運営推進機関(OCCTO)が4月に公表した長期脱炭素電源オークションの2023年度・応札の約定結果によると、蓄電池への応札量は募集上限の100万kWを大きく上回る455.9万kWで、落札(109.2万kW)は24%だった。応札量の多さは、容量確保に向けた再エネ電源需要への期待の高さを示すといえる。
今回の開発の軸となるのは、日本ガイシとリコーの合弁会社「NR-Power Lab」が開発を進めているハイブリッド型の蓄電所「StorageHub」だ。同システムは、大容量で長寿命が特性のNAS電池と、高出力でシステムサイズの可変性が高いリチウムイオン電池を組み合わせている。これにより、再エネ用の蓄電所から大小の企業需要家向けまでの、幅広い蓄電ニーズに対応できるビジネスモデルの実現が可能になるとしている。
同システムは、蓄電所内の蓄電池を需要家側が利用可能なように設計し、最もニーズの高い場所に移設して活用できるのが強みだ。蓄電利用企業のサイト等に設置することで、蓄電池ユーザーの初期投資負担を低減できるほか、利用企業は蓄電機能を確保することで、電力市場の制度変更による投資回収への影響や、長納期化による機会損失などのリスクを最小化できるとしている。

3社の連携では、日本ガイシと大和エナジーがStorageHubを保有管理する会社を設立する方向だ。開発するシステムは、NR-Power Labが展開するVPP(仮想発電所)システムを介して、再エネ電力の出力抑制の回避などのニーズに対し、蓄電機能のみを提供するアセットフリー型のサービスの提供を想定する。NR-Power LabのVPPシステムは、人工知能(AI)とブロックチェーン技術により利用側でIDを管理する分散型IDを活用して、StorageHubや需要家に移設した蓄電池を統合制御するという。
実証プラントは、岩手銀行と同行グループの地域商社「manordaいわて」の協力を得て、岩手県内に、NAS電池、リチウム電池、変電設備を併設し、発電容量800kWの太陽光発電の電力の蓄電・供給の実証実験を行う予定。また今年7月から実機でのVPP実証も開始する予定。