HOME10.電力・エネルギー |日本製鉄とJFEスチール。豪州WHC社の鉄鋼用炭鉱権益を両社合計で10億8000万㌦(約1620億円)で取得。「高炉水素還元」に活用と説明。環境NGOは「石炭依存の強化」と批判(RIEF) |

日本製鉄とJFEスチール。豪州WHC社の鉄鋼用炭鉱権益を両社合計で10億8000万㌦(約1620億円)で取得。「高炉水素還元」に活用と説明。環境NGOは「石炭依存の強化」と批判(RIEF)

2024-08-22 22:52:56

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写真は、日本製鉄とJFEスチールが出資を決めた豪州の露天掘り鉱山のBW炭鉱=「International Mining」から引用)

 

  日本製鉄とJFEスチールは22日、オーストラリアの石炭鉱業のホワイトヘイブン・コール(Whitehaven Coal Limited: WHC)が保有する同国クイーンズランド州のブラックウォーター(Blackwater  : BW)炭鉱の権益をそれぞれ 20%、10%分ずつ取得する出資契約をWHC社と結んだと発表した。権益取得額は日鉄が7億2000万米㌦(約1080億円)。JFEが3億6000万米㌦(約540億円)。日鉄とJFEはともに脱炭素政策として、「高炉水素還元」「大型電炉での高級鋼製造」「水素による還元鉄製造」の3種の技術開発を進めており、今回の製鉄用石炭の確保は「高炉水素還元」プロセスで投入するコークスの品質を高め、CO2排出削減につなげるためと説明している。

 

 国際NGOスチールウォッチのキャンペーン・ディレクターの冨田沓子氏は、「日本製鉄(およびJFE)は、2050年までにカーボンニュートラルを実現すると謳う一方で、脱炭素実現からは程遠い技術に依存し、排出量削減のためとして『高品質の石炭』が必要と主張し、石炭確保への投資を拡大している。化石燃料を使用しない事業戦略への転換ではなく、石炭への依存を高める選択をすることは、時代の変化に合わせた適切な脱炭素化への道を拒む、単なる言い訳のようだ」と批判する声明を出した。

 

 日鉄とJFEはWHCに出資するとともに、BW炭鉱で生産される製鉄用原料炭を長期にわたって引き取るオフテイク権利契約を結んだ。

 

 日鉄はWHCの石炭確保について「高炉水素還元プロセスでCO2排出削減と銑鉄生産の安定性・効率性を両立させるには、投入するコークスの品質(強度等)を高めることが有効。 BW炭鉱の製鉄用原料炭は、当社の技術的な強みの石炭事前処理プロセスを最大活用することにより、コスト低減を図りながらCO2排出削減に寄与する高品質コークスの製造が可能となる石炭だ」と説明。

 

 JFEも「今後、インド、東南アジア地域で高炉法による粗鋼生産に伴うコークス需要の高まりが想定される一方、製鉄用原料炭炭鉱の新規開発や拡張が困難となりつつあり、将来的に原料炭の供給タイト化が懸念される。今回の投資は、このような環境下で、高品質のBW炭を安定的に調達し、当社の収益安定化に寄与することを期待している」としている。

 

 WHCは1999年の設立で、豪州ニューサウスウェールズ州ガネダ地区を中心に石炭事業を展開してきた。2024年4月に同国クイーンズランド州の原料炭事業に本格参入している。BW炭鉱は同州Bowen Basinにある大規模な露天掘りサイトで、製鉄用原料炭の非微粘結炭・準強粘結炭を年間1010万㌧生産できるとしている。

 

 日鉄、JFEとも、今回の石炭確保のための投資を、「高炉水素還元」プロセスで利用するコークスの品質確保により、水素還元をより効率化するため、と位置付けている。しかし、石炭を利用した高炉での鉄鋼生産では鉄鋼1㌧製造に際してCO2を2㌧以上排出するとされる。国際エネルギー機関(IEA)は2021年の報告書で、コークス用炭(原料炭)については「2050年までの需要は既存の生産源で十分まかなえる」ため今後、減少すると予想しているが、日鉄、JFE両社のBW炭鉱への新規投資はIEAの展望に逆行するとの指摘も出ている。

https://www.nipponsteel.com/common/secure/ir/library/pdf/20240822_100_01.pdf

https://www.jfe-steel.co.jp/release/2024/08/240822.html

https://whitehavencoal.com.au/investors/asx-announcements/

https://steelwatch.org/%e3%83%97%e3%83%ac%e3%82%b9%e3%83%aa%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%82%b9/nippon-steel-investment-in-blackwater/?lang=ja