カリフォルニア、ニューヨークなど、25の州当局等が、トランプ政権による温室効果ガスの「危険性認定」の取り消し判断に異議を唱える共同請願書、連邦控訴裁に提出。訴訟提起の前段(RIEF)
2026-03-22 00:48:32
(写真は、反気候政策を主導するトランプ米大統領=ホワイトハウスのサイトから引用)
トランプ米政権が、オバマ政権時代に温室効果ガス(GHG)抑制の連邦政策の根拠として、GHGを公衆衛生に対する脅威とした「危険性認定」を、2月に撤回宣言したことに対して、カリフォルニア、ニューヨークなど約25の州当局のほか、ニューヨーク、ロサンゼルスなど約20の市・郡当局が共同で、米環境保護庁(EPA)による同認定の撤回に異議を唱える共同請願書を、連邦控訴裁判所(コロンビア特別区巡回区)に提出した。それによると、危険性認定を取り消すEPAの決定は、確立された法理、最高裁判所の明確な判例、および自動車排出ガスに含まれるGHGが人間の健康と福祉に及ぼす有害な影響に関する長年にわたる強固な科学的コンセンサスに違反すると主張している。
2009年のいわゆる「危険性認定」は、さまざまなGHGが公衆衛生に対する脅威だと結論づけたもの。特に、自動車からの排出量を抑制する連邦政府の取り組みの法的根拠となってきた。https://rief-jp.org/ct8/164679?ctid=
トランプ政権のEPAは2025年夏に、エネルギー省の「気候ワーキンググループ」がまとめた認定撤回案に基づいて、同認定を撤回する提案書を示した。だが、同グループは気候変動懐疑論者5人で構成され、その内容について、科学者らから法的異議を申し立てが提案されたことから、グループは最終報告書を公表しないまま解散した。昨年7月に回覧された報告書草案も、科学者たちから激しい批判を受けた。https://rief-jp.org/ct5/158882?ctid=
しかしEPAは今年2月12日、同庁による気候変動に関する規制やプログラムの広範囲な見直し政策の一環として、2009年の「危険性認定」および、同認定に基づく乗用車・トラック向けのGHG基準の両方を正式に撤回した。
今回のカリフォルニア州などの共同請願書は、これまでの経緯を踏まえて裁判所に対してEPAの認定撤回の判断の取り消しを求めるものだが、裁判所の対応が不十分な場合は、正式な訴訟になるとみられている。
請願書では「連邦政府によるGHGの『危険性認定』の撤回は、15年間にわたる規制の進展に前例のない混乱をもたらすだろう。国内最大のGHG排出源である運輸部門において、気候を不安定化させる汚染が増加える一方で、将来技術、新工場、雇用への米国の投資は減少し、この分野および気候変動対策における米国のリーダーシップを損なうことになる」と強調している。
また、カリフォルニア州当局等は、EPAによる「危険性認定」の撤回が、大気浄化法および行政手続法に違反していると主張している。EPAによる認定の撤回行為は、GHG排出を規制する法的権限を欠いているという(最高裁によって完全に退けられた)誤った主張に基づいているとし、さらに、GHGが公衆の健康と福祉を脅かすという、これまでの圧倒的かつ長年にわたる科学的証拠を無視していると、強調している。
特に、認定の撤回によって、運輸部門での自動車向けの既存および将来のすべての連邦ベースのGHGス排出基準を撤廃することは、公衆の健康と福祉を環境被害から保護するという同庁の法的義務および基本的責任に違反すると主張している。
共同請願書を主導したカリフォルニア州知事のギャビン・ニューサム(Gavin Newsom)氏は、「これこそが腐敗の実態だ。ドナルド・トランプは、気候汚染からアメリカ国民を守る法律を破っている。そのすべては、彼自身が石油大手や、汚染を撒き散らす富裕な同盟者たちを肥やすためだ。労働者、家族、そして地域社会がその代償を払い、汚れた空気に窒息させられることになるだろう。しかし、この国では、誰も法の上に立つことはできない。大統領でさえもだ。われわれは法廷でこの無法行為と戦う」と宣言している。
これに対して、EPAの報道官、ブリジット・ハーシュ(Brigit Hirsch)氏は「原告州が訴状を提出する前からメディアに駆け込んだことは、事態を如実に物語っている。彼らにとってこれが法律や議論の是非の問題ではなく、明らかに政治的な動機によるものであることを示している」と、民主党系州当局や大手自治体・郡当局等の対応を批判している。
(藤井良広)

































Research Institute for Environmental Finance