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東電の最終赤字1兆2473億円 11年3月期、原発で特損。6000億円資産売却、補償に備える (各紙)

2011-05-20 18:30:29

各紙の報道によると、東京電力が20日発表した2011年3月期連結決算は最終損益が1兆2473億円の赤字だった。福島第1原子力発電所の事故に伴う特別損失が膨み、金融機関を除く日本企業では過去最大の最終赤字を計上した。合わせて総額6000億円以上の資産売却策も発表、原発事故の被害者への損害賠償(補償)に備える。


 1兆776億円の特別損失を計上した。福島第1原発の1~4号機の廃炉費用2070億円や、原子炉の冷却や放射性物質の飛散防止などの費用4262億円などを含む。将来に安定的な利益を計上できる前提で積んでいた繰り延べ税金資産(10年12月末時点で約4800億円)も取り崩すことで、最終赤字が拡大した。




 原発事故の補償負担は金額規模が不透明なため、11年3月期決算には補償費用をほとんど反映していない。12年3月期は補償負担に加え、火力発電の比率が高まることによる燃料費の増加など業績への不確定要素が多い。このため東電は12年3月期の業績予想は開示しなかった。




 日本の事業会社の最終赤字額はNTTが2002年3月期に計上した8346億円がこれまでで最大だった。東電は補償費用なしで、これを大きく上回る損失を計上したことになる。




 東電の11年3月期末の自己資本は1兆5581億円。10年12月末時点の2兆9377億円から大きく目減りした。12年3月期以降も最終赤字が続けば債務超過に陥る可能性があるため、原発を保有する他の電力会社と共同で設立する機構から、資本注入を受けるなどして、電力供給と賠償の継続を図るとみられる。