一般社団法人環境金融研究機構 | Research Institute for Environmental Finance: RIEF

By Katie Gilbert: Institutional Investor　2011年5月15日:資産運用額1529億ドルの米カリフォルニア州教員退職制度（CalSTRS）は、これまで広範囲に実施してきたサステナブル投資プログラムを、さらに拡大する、と発表した。その内容は、同基金CEOのJack Ehnesが「重要な一歩」と呼ぶものである。すなわち、今後、同基金は、外部委託するすべての資産運用について、環境・社会・ガバナンス（ESG）の各要因が運用戦略に組み込まれるかを評価する。

　Ehnesはこう言う。「何がこれまでと異なるのかというと、『運用機関がどう工夫しようとも、ポートフォリオに長期的影響を及ぼすと思われるESGリスクは厳に存在しているということだ。そして彼らがESGリスクをどう評価しているかを、明確に説明してくれることを確認したい』と言っているのだ」。さらに彼は、次のように付け加えた。「我々はもはや、ESG評価は彼らの分析の中に存在するという憶測などしていない（分析ではなく明確に存在する）」と。

　CalSTRSのこの発表は、ボストンを本拠とする投資家と公共利益団体の連合であるCeresがこのほど開催したInvestor-Business Roundtable for a Sustainable Economyの参加者によって発信された広範無コミットメントの一つである。同Roundotableには著名な投資家や企業、労働組合代表らが参加した。彼らは、より安定した経済発展に彼ら自身が寄与できる具体策を協議するため、昨年の暮れに初めて集まった。今回のコミットメントは、2011年にカリフォルニア州オークランドで開いたCeresの会議初日に公表された。

　CalSTRSと同様に、2360億ドルの資産規模を誇る国内最大の公的年金基金であるカリフォルニア州職員退職年金基金（CalPERS）も、重大な発表を行った。CalPERSのCEOのAnne Stausbollは、同基金の全ての投資意思決定において、また全ての資産種別に渡って、ESG要素を完全に組み入れると誓ったのである。このRoundtableに参加しているアパレル製造業のLevi Strauss & Coは、自社のサプライヤー及びサプライチェーン全体に渡って、工場での条件を改善する努力を開始すると言明した。

　CalSTRSのEhnesによれば、彼の耳に最近入ってくるサステナビリティ関連の話題は明らかにこの10年間で変化しているという。今日のRoundtableで、産業レベル、会社レベル、そして投資家の各レベルそれぞれが打ち出した具体的な公表や誓約は、まさに彼が目指すものを裏付けているようにみえると言う。

　彼は言う。「人々は、サステナビリティを語るためだけでなく、実際の変化につながる戦略を考え出すため、集まっているのだということがわかるはずだ」。「私は10年以上もこの変化を見てきたので、教育やネットワーキングといった次元から、実行可能な具体的行動計画を発展させる次元の試みとの、議論の違いが実によく分かるのだ」