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元米財務長官のヘンリー・ポールソン氏。中国でグリーンビルディング・ファンドの立ち上げ支援へ。中国の「環境金融」促進に注力(RIEF)

2016-04-21 15:57:01

paulson4キャプチャ

 

 米ブッシュ政権時代の財務長官を務めたヘンリー・ポールソン氏が、自らのThe Paulson Instituteを通じて、グリーンビルディング建設を促進するファンドの立ち上げで中国政府を支援するなど、中国での”グリーンビジネス環境”の整備に力を入れている。

 

  ポールソン氏は、ゴールドマンサックスのCEOを経て、2006~09年の間、ブッシュ政権の財務長官の職にあった。リーマンブラザースへの公的資金注入を拒否し、金融危機の引き金を引いたことで知られる。

 

 引退後、シカゴ大学内に独立の国際問題研究機関としてPaulson Instituteを設立した。同機関の主たる目的は、米中関係の強化と、両国の持続可能な経済成長と環境保護の促進という。

 

 ポールソン氏自身は以前から環境保護活動に熱心で、世界中で自然保護活動を展開するNGOのNature Conservancyのメンバーで、理事長も務めた経験を持つ。またBloombergのマイケル・ブルームバーグ氏らとともに、気候変動の経済的影響を警鐘する非営利活動も展開している。その意味で「環境金融」のけん引役の一人でもある。

 

 またNCの活動の一環として、中国の江沢民国家主席とともに、雲南省に生息する虎の保護活動を行った経験もある。今回、Paulson Instituteが立ち上げに関わっているのは、中国政府が推進しているGreen Building Energy Efficiency Fund。中国国内で、持続可能なグリーンビルディングの建設に投資するファンドを整備し、投資対象とするともに温暖化対策に資するようにする狙いだ。

 

 建物の光熱費などによる温室効果ガスの負荷は、世界全体の温室効果ガスの30%を占める。ポールソン氏は「適正な規制と、金融メカニズムを活用すれば、温室効果ガス排出量は確実に低下する」と語る。

 

 ポールソン氏の「米中関係の強化」はファンド設立の支援にとどまらない。Paulson Instituteは、先週末、米ワシントンで、中国人民銀行の Green Finance Committee of China Society for Finance and Banking と共催の形で国際シンポジウムを開催、グローバルな視点で、グリーンファイナンスのメカニズムと市場づくりについて議論を展開した。

 

 同シンポジウムの論点は、G20で議論を進めている Green Finance Study Group の最終レポートにも反映されるという。ポールソン氏はそのシンポジウムで、「環境金融の実務的モデルを構築することは、途上国にも先進国にもプラス効果を及ぼす」と発言、”グリーンなポールソン”を内外にアピールした。ビジネスマインドが随所にチラついていたことは、間違いない。

 

http://www.paulsoninstitute.org/news/2016/04/16/green-finance-symposium-explores-financial-mechanisms-to-promote-low-carbon-global-economic-growth/