HOME4.市場・運用 |韓国の公的年金(NPS)がタバコ、アルコール、ギャンブルなどの企業を投資対象から除外検討へ |

韓国の公的年金(NPS)がタバコ、アルコール、ギャンブルなどの企業を投資対象から除外検討へ

2011-03-19 23:42:14

韓国のThe Korean Times によると、韓国の公的年金基金で、国連のPRIに署名しているNPS(National Pension Service)は、投資対象からタバコ、アルコールなどの“シン・セクター(罪悪産業)”の除外を検討していることを明らかにした。同基金は従来、日本たばこ産業(JT)も投資対象としてきた。

 同紙の報道によると、今回の除外方針は、NPSのJun Kwang-woo会長が同紙に明らかにした。NPSは全体でUS$267billionの資金を運用している。このうち、外国株投資の1.7%に当たる$307millionが、シン・セクター領域の海外37社分。主な企業では、JTのほか、ブリテッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)、フィリップスモリス、カールスバーグ、ハイネッケンなどが含まれている。

しかしJun会長は、「われわれのような規模の大きい公的年金は、公的利害を高める方向で行動する必要がある。なぜならわれわれのオーナーは、(年金を受ける)市民であるからだ」と指摘、今年の1月に、ESGチームを発足させ、投資対象企業の見直しを実施しているという。 NPSは国連のPRIにも署名している。今回の見直しはこうした原則を踏まえ、かつ、ここ数年、同年金の国内のシン・セクター投資は2008年をピークとして減っているものの、海外向け投資は2006年から20倍にも膨らんでいることから、ESGクライテリアの厳格適用を目指すという。

国連PRIに署名している金融機関、年金などは日本でも16社ある。特に資産運用会社では、野村アセットマネジメントが3月にPRIに署名し、日本の資産運用署名機関は、ダイワ・アセット・マネジメントなどの既存の機関を合わせて10社になったが、NPSのような明確なESG投資基準を目指し、公表しているところは少ない。  

また日本の公的年金である年金積立金管理独立法人(GPIF) は、OECDからESG投資を取り込むべきだとの異例の勧告を受けているhttp://financegreenwatch.org/jp/?p=228が、今もって具体的な動きはない。GPIFは韓国のNPSの今回の行動から、何をなすべきか学ぶべきだろう。また、日本のPRI署名機関も、署名時のアピールだけでなく、具体的な投資基準とその実績について、定期的に開示する必要がある。

The Korean TimesはEnglish版を参照http://financegreenwatch.org/?p=339