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米GM 2050年までに、同社の使用電力を100%再生可能エネルギーに切り替え。

2016-09-20 11:39:07

GMキャプチャ

 

  米大手自動車メーカーGeneral Motors(GM)は、2050年までに世界中の同社の生産・販売拠点で消費する電力を、100%再生可能エネルギーでまかなうと発表した。同時に再エネ100%使用を宣言する世界の主要企業による「RE100」のキャンペーンに参加した。

 

 大手自動車メーカーで、再エネ電力100%使用を宣言したのはGMが初めて。

 

 現在、GMは世界59カ国、310の工場・事業所で活動している。そのビジネス活動で消費する電力総量は昨年だけで9GWhに達している。これまでは2020年までに再エネ電力使用を年間125MWに増やすとの量的目標を立てていた。すでにこの目標は前倒しして、今年末に達成見込みになっている。

 

 そこで、パリ協定と同じく、2020年以降をにらんだ新しい目標として「2050年、100%再エネ化」を打ち出した。GMは現在の再エネ電力の使用分で、年間500万㌦の電力コストを節約しているという。100%化は、さらに電力コストの引き下げにつながり、ビジネス上のメリットも大きい。対象とする再エネ発電は、太陽光、風力、バイオガスなど。

 

 GM の会長兼CEOのMary Barra氏は、「再エネ100%化は、われわれの活動による環境影響を削減することで、社会によりよく貢献できる」「顧客やコミュニティに対して、よりクリーンな大気を提供すると同時に、われわれのビジネスもより安く、安定したエネルギーを確保することで、ビジネスを強化できる」などと述べている。

 

 自動車メーカー初の再エネ100%化は、GMが電気自動車シフトと、省エネ工場化を鮮明にし、ビジネスの競争力強化と温暖化対策に正面から向き合う企業としての評価を高めることにつながる。低炭素化を目指すビジネス姿勢を明確にするため、温暖化対策を推進する企業による「RE100」キャンペーンへの参加も決めた。

 

 今回のGMの宣言は、環境団体からも歓迎されている。環境NGO、The Climate Group北米代表のAmy Davidsen氏は「GMの大胆かつ野心的な目標設定は、間違いなく世界の自動車産業の注目を集めるだろう。GMのリーダーシップを見習って、他のCO2高排出企業も電力を切り替えるよう期待する」と評価した。

 

 GMは「再エネ100%」宣言を先取りする形で、最近、中国の2つの工場で30MW分の太陽光発電施設の整備を発表している。上海のキャデラック工場の屋根に10MWの太陽光設備を導入するほか、武漢市の配送拠点の駐車場の屋根にも20MWの設備を設置を進めている。

 

 こうした再エネ設備の導入で、これまで20年間で総額8億㌦以上の節約効果をあげた、としている。GMの世界各地の拠点では、太陽光発電の導入が22工場、3か所で廃棄物埋め立てによるバイオマスガスを利用している。また、4か所で建設中の風力発電は間もなく稼働する予定という。

 

 GMの再エネエネルギー重視の姿勢は、電気自動車の開発とも密接に関連する。電気自動車の軸となる蓄電池技術が太陽光や風力発電の電力貯蔵や安定化を高めることにつながるためだ。GMは現在、Chevrolet Volt の蓄電池を活用している。蓄電技術のレベルアップが、GM全体のエネルギー効率化にも貢献する期待がある。

 

 GMが参加した「RE100」キャンペーンは、現在69の企業が宣言に名を連ねている。 キャンペーンはRenewable Energy Buyers Alliance やBusiness Renewables Center などが推進しているもので、Google、マイクロソフト、HP、H&M、ネッスル、ゴールドマンサックスなどが署名している。

 

http://www.gm.com/mol/m-2016-sep-0914-renewable-energy.html