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巨額損失を出しても、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)理事長の年俸は最高額。2015年度の報酬。ガバナンスが効かない組織であることを露呈(各紙)

2016-09-24 20:01:51

mitaniキャプチャ

 

 総務省によると、2015年度の独立行政法人役職員の給与水準で、対象となった99法人のうち理事長らトップの年間報酬が最も高かったのは、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の前理事長の三谷 隆博氏で3131万円だった。GPIFは同年度に5兆3000億円の運用損失を出しており、三谷氏は巨額損失の見返りに、最高の報酬を得たことになる。

 

 三谷氏に次いで報酬額が高かったのは国立病院機構理事長の2304万円だから、GPIFの報酬は突出している。総務省は「金融機関の報酬水準を踏まえ設定された。独立行政法人通則法の規定に基づく評価も経ており、妥当性は担保されている」としている。しかし、民間金融機関ならば、5兆円強の穴を開けた経営者は更迭されるか、最低でも減俸になるだろう。

 

 三谷氏は日銀出身で、信用機構担当の審議役、理事を経て、日本アイ・ビー・エム特別顧問に「天下り」。2010年にGPIFの理事長に就任した。15年4月には同理事長職の再任を受けた。再任一年目に多額の損失を計上し、「体調不良」を理由に退任している。

 

 したがって、独法役員最高の報酬とともに、恐らくは最高の退職金を受領し、GPIFに巨額の穴を開けた責任は棚にあげたまま、「さらば」、と立ち去ったことになる。GPIFは厚生年金や国民年金の保険料収入の余剰分を積立金として管理、市場に投資し運用している。株価下落などの影響で15年度は5兆3098億円、16年度4~6月期も5兆2342億円の赤字を出している。

 

 政府は2013年、専門的な人材の確保するとの趣旨で、独法の給与水準を弾力的に決められるようにする方針を閣議決定している。GPIFはこれを受け、日銀総裁などの年収を参考にして、15年1月から役員の給与を引き上げた。三谷氏は「専門的人材」だったことになる。(損失を出す専門家なのかな?)

 

 それまでの14年度の三谷理事長の報酬は2148万円だった。三谷氏退任後、高橋則広氏が16年4月に理事長に就任した。同氏も就任直後の最初の4半期で5兆円を超す損失を計上したことになる。

 

 高橋氏は元農林中央金庫専務理事で、農中で運用を担当した専門家という。だが、出足から得意なはずの運用で失敗しており、先が思いやられる。

 

15年度の独法トップの退職手当で最も多かったのは理化学研究所で1688万円。99法人の事務・技術職員3万2717人の平均年間給与は677万円。国家公務員給与を100とした指数は102.6で、依然として国家公務員を上回り前年度の101.9と比べ差も拡大した。もちろん独法も国家公務員も、民間労働者を上回っているのは間違いない。

写真は、巨額損失を出して退任した三谷隆博前GPIF理事長)