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日本原子力研究機構 原子力関連10施設を追加廃止へ、「40年超」の老朽化で存続困難と判断。「40年超」経過の老朽原発稼働問題にも微妙に影響(RIEF)

2016-10-19 11:42:18

JAEAキャプチャ

 

 日本原子力研究開発機構(原子力機構)は18日、茨城県大洗町にある材料試験炉(JMTR)や同県東海村の高速炉臨界実験装置(FCA)など原子力関連10施設を新たに廃止する方針を示した。老朽化が理由。すでに廃止を決めている施設と合わせて42施設を廃止する。

 

 原子力機構の廃炉施設追加方針は、新たに策定した施設中長期計画案で示された。それによると、同機構原子力研究施設の多くは昭和年代に整備されたもので占められる。88の原子力施設の築年数は5割以上が40年を過ぎている。10年後には「40年超」の老朽施設は9割に達するという。

 

 施設整備から「40年」を老朽化の目安とする点は、電力会社が運営する原子力発電所と同様。機構の施設は研究用だが放射性物質を扱うため、経年対応での施設の改修や整備には通常の建物以上の費用がかかる。

 

 たとえば、JMTRは、2007年度から約170億円をかけ改修や整備工事を実施した。しかし、東京電力福島第一原発事故後に制定された新規制基準に対応するには、さらに約400億円の追加費用がかかる。 このため、機構はJMTRの再改修を断念し、廃止施設とした。同施設は、改修・整備工事後、一度も運転しないままだった。

 

 施設中長期計画案では、継続使用施設の絞り込みによって集約化・重点化を進めるとともに、施設の安全性確保策として、高経年化(劣化)対策、新基準対応、耐震性対策等の考慮、さらに廃止処分にする施設と施設からの放射性汚染物質のバックエンド(最終処分)対策という3点分野を、「三位一体」で推進していく、としている。

 

 特に劣化対策では施設の経年劣化の程度を、劣化の進展性、故障時の復旧の困難性など4項目の共通指標で総合評価したうえで、対象施設を選び出す。またバックエンド対策では、対象施設の廃止作業は早期に実施したほうが費用が軽減されるとしている。これらの手法や経済性についての考え方は、商業用原子炉の経年評価にも活用できる。

 

https://www.jaea.go.jp/02/press2016/p16101801/s01.pdf