HOME13 原発 |葛飾北斎の「プルシアンブルーの青」がヒントに スポンジで放射性物質のセシウム除去技術に活用 水に流れない青を再現(東京新聞) |

葛飾北斎の「プルシアンブルーの青」がヒントに スポンジで放射性物質のセシウム除去技術に活用 水に流れない青を再現(東京新聞)

2016-11-16 23:00:02

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  放射性のセシウムを「スポンジ」で回収する新技術を、東京大などのグループが開発し、十五日、英科学誌サイエンティフィック・リポーツに発表した。青色の顔料プルシアンブルーを繊維と結合させたナノテクノロジーの成果。発想の出発点は葛飾北斎の版画だった。

 

 プルシアンブルーはセシウムを吸着する素材として知られているが、水の中では微粒子になって拡散する性質があり、福島第一原発事故後の除染には、ほとんど用いられていなかった。

 

 東京大政策ビジョン研究センターの坂田一郎教授と古月文志(ふうげつぶんし)特任教授らは、プルシアンブルーを使った北斎の青が、水にぬれても流れ落ちないことから、何らかの方法があるはずだと探索した。その結果、同大の磯貝明教授が開発した極細の繊維を使い、結合させてパウダーを作ると、水に溶け出さないことを確認した。

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    実験では、水溶液中のセシウムが一~二日で、99%以上吸着され、検出限界以下になった。このパウダーをポリウレタンに練り込み、スポンジを作る。ため池での実験でも効果があることが分かった。

 

 坂田教授は「自由な形に加工でき、軽くて扱いやすい。原材料のコストも安い。海水中でもセシウムだけを吸着できる」と話す。

 

 セシウムを吸着したスポンジは、圧縮して埋め立て処分する。プルシアンブルーにはシアンの溶出という問題もあるが、実験では環境基準を満たしていた。近く福島県内のため池に一立方メートルくらいのスポンジを入れる実証事業が行われる見通し。福島第一原発のサイト内でも、排水溝などにスポンジを置く検討が進んでいる。

 

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     米マサチューセッツ工科大のM・ドレッセルハウス博士らも研究チームに参加し、セシウムを吸着する構造の分析に協力した。米国でも原発廃炉などで用途があるという。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201611/CK2016111602000122.html