HOME |米電気自動車大手テスラ、太陽光発電VBソーラーシティの買収決定。両社の株主総会が承認。テスラは太陽光パネル付セダン発売へ。トランプ次期大統領のエネルギー政策との調整が課題に(各紙) |

米電気自動車大手テスラ、太陽光発電VBソーラーシティの買収決定。両社の株主総会が承認。テスラは太陽光パネル付セダン発売へ。トランプ次期大統領のエネルギー政策との調整が課題に(各紙)

2016-11-18 11:58:18

teslaキャプチャ

 

 各紙の報道によると、米テスラモーターズと米太陽光発電ベンチャー、ソーラーシティは17日、それぞれ株主総会を開き、株式交換方式によってテスラがソーラーシティを買収する案を可決した。買収額は20億㌦。テスラは自動車の屋根に太陽光パネルを搭載する完全電気自動車(EV)を発売する。

 

 テスラが発売する太陽光パネル搭載EVはModel Sのほか、新規発売する Model 3のセダンシリーズが予定されている。自ら発電できる世界初の完全EVとなる。テスラのCEO、イーロン・マスク氏は株主総会で「われわれは統合製品を市場に発信していく」と述べ、再エネ発電事業と電気自動車事業の統合を企業戦略の柱に据える考えを示した。

 

 テスラの株主の85%が買収に賛成票を投じた。 テスラには日本のパナソニックが、電池、太陽光パネルの供給で提携しており、パナソニックの事業拡大にもつながりそうだ。

 

 ただ、テスラが6月にソーラーシティ買収案を公表して以来、テスラ株の時価は48億㌦減少、ソーラーシティ株も8600万㌦減少している。

 

 両社の統合効果への疑念が主な市場の懸念材料となっている。 ソーラーシティの太陽光発電事業は、米政府による税制優遇措置に大きく依存している。これに対して、トランプ次期大統領は、再エネより、化石燃料復活への関心が強いとされ、テスラの統合効果が十分発揮されるかとの懸念が出ていた。

 

 テスラはこうした懸念を払拭するため、統合効果で初年度は10億㌦の売り上げ増が見込める、と強調している。ソーラーシティと販売・マーケティング、部品調達、設置工事などを共通化し、初年度に1億5000万㌦(約165億円)のコスト削減が期待できるほか、今後3年間に5億㌦のキャッシュフローの増加も見込めるとしている。ソーラーシティのビジネスも、テスラのネットワークを活用することで拡大するとしている。

 

 17日の合併合意で、テスラ株は同日終値で、2.6%上昇の188.66㌦に、ソーラーシティ株も2,9%上昇の20.40㌦となった。

 

 マスク氏は「蓄電池同様、最高の性能で最も安い太陽光パネルを作る」方針を明らかにしている。EVで培った生産ノウハウを共有し、太陽光パネルでも一気に投資を拡大する見通しだ。

 

 トランプ新政権が重視する国内雇用創出という点で、新生テスラは蓄電池と太陽光パネルの両面で米国内での事業を拡大することになり、新たな政策支援を新政権から受ける可能性も指摘されている。

 

http://www.bloomberg.com/news/articles/2016-11-17/tesla-seals-2-billion-solarcity-deal-set-to-test-musk-s-vision